社説:国民健康保険の改革 都道府県の役割は重大だ

2018.04.04

社説:国民健康保険の改革 都道府県の役割は重大だ
2018.04.01毎日新聞



 市町村が担っていた国民健康保険(国保)の運営責任がきょうから都道府県へ移る。制度が始まって以来の大改革だ。広域化によるメリットを生かし、都道府県は国保財政の安定化に全力を挙げるべきだ。

 国保は農業など第1次産業や自営業の人を対象に作られたが、現在は無職の高齢者や非正規雇用の人が多くなり、財政が悪化している。

 国保加入者の1人当たりの医療費は約33万円で、大企業の従業員が入る健康保険(健保)より2倍以上多い。医療費のかかる65~74歳が増え、加入者全体の4割を占めるようになったためだ。低所得者が多く、保険料を上げることも難しい。

 国保は保険料に加え、国からの国庫支出金、健保などからの拠出金で運営されている。それでも足りず、市町村が一般会計から税を投入してやり繰りしているのが実情だ。

 都道府県に運営責任が移ると、財政規模が大きくなって安定する上、事務の効率化も図られるだろう。現在の保険料は市町村によって最大6倍以上の開きがある。同じ県内でも4倍以上の格差がある。こうした地域間格差の緩和も期待される。

 現在、市町村は保険料の決定、保険料の徴収、給付などを担っている。制度が変わってもこうした業務は市町村が継続する。都道府県と協力して財政の改善に努めるべきだ。

 都道府県にはもう一つ大きな役割がある。今回の改革は2015年に成立した医療保険制度改革関連法に基づいている。同法には病床数の認定と管理を行う「医療計画」、病床機能を再編する「地域医療構想」などの作成を都道府県が行うことが定められている。

 日本の医療は、国が報酬単価を決め、公的医療保険が保険料の徴収と給付を担っている。ところが、民間病院・診療所が全体の7割以上を占めているため、医療の提供体制は政策で変えることが難しいとされてきた。地域による病院の偏在が大きく、一部の診療科が極端に不足するなどの弊害も起きている。

 都道府県は地域の医療機関や医師会と連携し、患者の必要性に応じた医療の提供体制を再構築しなくてはならない。国保改革を皮切りに、国民が安心できる医療の確保に努めるべきだ。都道府県の責任は重い。

毎日新聞社