<ここが聞きたい>様似の「三和医院」院長 三上徹成さん(67)*様似唯一の診療所「恵和会」傘下入り1年*医師が残る仕組み確立

2018.03.22

<ここが聞きたい>様似の「三和医院」院長 三上徹成さん(67)*様似唯一の診療所「恵和会」傘下入り1年*医師が残る仕組み確立
2018.03.19 北海道新聞 


 地域医療の担い手不足が各地で深刻化する中、様似町唯一の内科診療所「三和医院」が札幌市の社会医療法人「恵和会」傘下に入って、4月で1年を迎える。地方の開業医が直面する後継者問題を、系列病院を複数持つ法人の力を借りることで解決策を見いだした同医院の三上徹成院長(67)に経緯を振り返ってもらった。(聞き手・斉藤徹)

 --道内各地で医療、福祉事業を手がける恵和会への入会の経緯は。

 「三和医院は34年前、僕が33歳の時に故郷・様似で開院しました。町内にもう1軒あった病院は2006年に廃業し、うちは『へき地診療所』に指定された。町に高齢者が増えて仕事量は増す一方、僕の体は衰えていく。故郷の将来の医療を考えた時、個人の都合に左右される後継者ではなく、継続性を担保できる組織に任せる道を模索していたところ、札幌医科大時代の同期が院長を務める札幌の西岡病院を通し、恵和会に入ることがかないました」

 --恵和会に移り、どんな利点がありましたか。

 「僕がいつ倒れても代わりの医者が患者を診てくれます。最大の悩みがなくなり肩の荷が下りました。診療体制はこれまで同様、僕が週3日診療し、残りは西岡病院や札医大病院の十数人の派遣医に任せています。僕は2年後に引退する契約ですが、様似に医者が残り続ける仕組みを確立できた。患者や職員を含め、地域に少しは安心してもらえたのではないでしょうか。患者から『町民を代表してお礼を言いたい』と突然言われ、うれしかった」

 --都市部から離れた自治体ほど医師不足に悩んでいます。

 「恵和会入会後、同世代の開業医から相談が相次ぎました。今の医者は都会志向が強い。地域に根ざし使命感を燃やして働いてきた医者ほど後継者探しに苦労しています。様似も札幌から約200キロ離れ、条件は厳しい。開業以来、医局の後輩や縁のある医者を派遣医に呼んでは、海の幸を振る舞ったり家族連れがゆっくりできる専用住宅を建てたりしてきました。様似の人や田舎の魅力を多くの医者に知ってもらう努力を続けたことが今につながったと思います」

 --今後の三和医院の展望は。

 「次期院長はまだ決まっていません。患者との距離が近い様似の現状を考えると、1人の医者が町に根付くのが最良ですが、ぜいたくな要求かもしれません。週の半分、札幌から様似に通う医者でも良い。大事なのは元気がある医者に町に居続けてもらうことです」

 みかみ・てっせい 1950年、様似町生まれ。浦河高を出て、78年に札幌医科大卒。国立療養所道北病院などを経て、84年に医療法人三和会「三和医院」を開業。病院名は「三人の医者が和して患者を診る」という理想から付けた。2017年4月、社会医療法人「恵和会」の傘下入り。

北海道新聞社