[医療なび]子育て医師 時短勤務 宿直を免除 役割明確にし負担軽減

2017.12.21


[医療なび]子育て医師 時短勤務 宿直を免除 役割明確にし負担軽減
2017.12.17 読売新聞


 病院の勤務医の長時間労働が常態化している。医師が休みなく働くと過労死につながるだけでなく、診療でミスが増えることから、国は医師の「働き方改革」の検討を進めている。こうした中、一部の病院は労働時間を短くする改革に取り組んでいる。(石塚人生)

 勤務医は病院に泊まりこむ「宿直」がまわってくる。宿直は急患の対応を求められることもある。また自宅に専用電話を持ち帰って緊急対応にあたる「待機勤務(オンコール)」もあり、気が休まらない時間が続く。

 病院の中でも、急な病気やけが、出産などに対応する救急や産婦人科の医師は勤務時間が長い傾向がある。2016年度の厚生労働省研究班の調査では、1週間あたりの勤務時間は救急が約64時間、外科系と産婦人科が約59時間半で、労働基準法が定める週40時間より20時間程度長かった。

 こうした中で労働環境を改革した病院もある。

 東京都多摩市で年500人程度の出産を扱う日本医科大学多摩永山病院女性診療科・産科。1月に長男を出産した産婦人科医の寺田佳世子(かよこ)さん(34)は、同科が導入した「時短勤務」で働く。宿直を免除され、勤務は午前9時~午後5時。長男は院内保育所に預ける。

 同大を卒業し勤務先を選ぶ際重視したのが、結婚・出産しても働き続けられる環境だった。「働き方の手本となる女性医師が多い。この病院で長く働きたい」と話す。

 地域の診療所などを含め役割を分担し、産科医の負担を軽減したことが、時短勤務を可能にしている。

 同病院では正常な出産を担当するのは20人の助産師。産科医は危険性の高い出産や帝王切開に専念している。また妊婦健診は地域で提携する35医療機関で受けてもらう。妊婦への対応は主治医1人ではなく、交代しつつチームであたる。

 宿直明けの日も普段通りの勤務が多い中、同科では宿直後は午前中だけ残り、午後の勤務には入らない。

 同科の常勤医は14人。うち9人は女性だ。2人は産休・育休中。3人は子育て中で時短勤務だ。同科部長で副院長の中井章人さん(59)は「産科は女性医師が主力。家庭を犠牲にせずに働ける仕組みを作らないとやっていけない」と話す。

 時短勤務や、宿直明けに一日中働かずに済む交代勤務などの取り組みは日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区)などでも導入されている。

 ただ、日本産婦人科医会の今年の調査では、宿直明けの交代勤務は7%にとどまる。交代には一定の医師数が必要で、中小病院には難しいためだ。同医会常務理事でもある中井さんは「大きな病院に産科医を集める、産科施設の集約化が欠かせない」と話す。


 ◆支援職種の創設提言

 医師の働き方については厚生労働省の検討会が4月、報告書を公表している。医療従事者の自己犠牲に頼ることなく、性別や年齢に関係なく多様な働き方を実現すべきだと提言。具体的には、医師以外の職種を含めた役割分担の推進、医師を支える新たな医療職種の創設、情報通信技術の積極的な活用、遠隔医療の推進などを挙げている。

 日本医師会も「勤務医の健康支援のための15のアクション」をまとめている。▽宿直勤務翌日は休みに▽短時間雇用など就労形態を多様化▽地域医療機関と連携し外来を縮小--などを実行すべきだとしている。

 これらを受ける形で厚労省が新たに設置した「医師の働き方改革検討会」で、労働時間短縮や時間外労働の規制などの議論が行われている。2年後をめどに結論を出す。