社説 重症病床削減 地域事情に即し適用を 2017・11・24

2017.11.29

社説 重症病床削減 地域事情に即し適用を 2017・11・24
2017.11.24 


 重い病気で入院している患者向けの「急性期病床」が削減される見通しになった。

 政府は来年度から診療報酬の仕組みを抜本的に見直し、ベッド数の削減へ誘導する方針だ。

 医療費は高齢化に伴い膨らみ続けている。効率的な運用へ向けた改善は理解できる。

 一方で、手厚い医療、看護が本当に必要な人に提供されない事態は避けねばならない。丁寧な運用が必要だ。

 急性期病床には現在、患者7人に対し看護師1人が配置されている。制度上、最も手厚い体制だ。

 診療報酬のうち、患者1人ごとに病院が受け取る入院基本料は、主に医師や看護師の配置を評価して算定されている。このため急性期病床は病院にとって採算性の高い部門になっている。

 政府は算定方法を見直し、看護師の人数ではなく、手術などの提供した医療実績に応じて報酬を決める方針だ。

 背景には、比較的軽症の患者が急性期病床に混在している現状がある。制度見直しによって、軽症患者の看護は現在より手厚くなくなる可能性があるが、医療費の自己負担も減少することになる。

 手厚い看護は本当に重い病気の人に集中させるというわけだ。

 だが症状の仕分けをどう行うのか。手術以外の提供医療をどう評価するのか、分かりにくい。症状が日々変化する患者もいよう。きめ細かな対応をしてほしい。

 重症患者向けの病床は現在、全国に約35万4千床あり、政府は医療費増大の原因とみている。だが、ベッド数の総量規制で病院が単価の高い病床の割合を増やした経緯もある。地域医療を支える病院経営に悪影響が出ないよう配慮は必要だろう。

 団塊の世代が全員75歳以上になる2025年に向け、政府は急性期病床を削減し、リハビリや在宅医療の受け皿や担い手を増やす方針を打ち出している。

 都道府県が作成した「地域医療構想」によると、2025年までに全国の病院のベッド数は11・6%、約15万6千床減る見通しだ。

 ほかにも、高齢者が長期入院する医療保険適用型の療養病床のうち約6万6千床を23年度末までに廃止する。新しい「介護医療院」へ転換を促して医療費を抑える方針だ。

 医療費抑制と医療の在宅化は急速に進んでいる。一方で地方では介護の担い手不足などが深刻だ。地域の事情に合わせた運用を求めたい。

京都新聞社