社説 寒河江・保育所に小児科誘致 病児保育対応、定住促す

2017.11.27



  社説 寒河江・保育所に小児科誘致 病児保育対応、定住促す
2017.11.24 山形新聞


 安心して結婚・出産・子育てできるまちづくりを掲げる寒河江市は、2019年4月の開所を目指し移転新築する「市立なか保育所」の整備と連動し、敷地内に病児保育に対応した小児科クリニックを誘致する。

 市が建設した施設にクリニックがテナントとして入り、市の業務委託を受けて市内初の病児保育も行う計画だ。今回、寒河江市出身の小児科医がクリニック運営を内諾しており、小児科を誘致することで持続可能な地域医療の確保が図られ、地域力維持の面でも大きな意味を持つ。小児医療と幼児保育の両面を充実させ、出産・子育て支援、移住・定住促進につなげる新たな取り組みに期待したい。

 寒河江市内の小児医療の環境は十分とは言い難い状況にある。かつて市立病院に小児科外来があったが、医師の確保が困難になり1996年3月末で閉鎖された。現在、市内にある小児科医院は1軒、小児科医も1人だけ。西村山地域全体でも、小児科医は河北町に数人、西川、朝日、大江にはゼロという状況で、混雑などを避けるために山形や天童、東根などの医院・病院にかかっている家庭も多い。

 小児科クリニックの誘致はこれまでも何度か検討されてきたが、山形市や東根市など近隣の人口集積エリアに開業医の目が向く中で、実現しなかった経緯がある。市が第6次振興計画策定に向けて開いた「地域ワークショップ」や「さがえウーマンズカフェ」などでも、若い子育て世帯を中心に小児医療の充実を求める声は多かった。

 一方、子育てと就労の両立支援の観点から新たに取り組むのが、病児保育だ。保育園などに子どもを預けながら共働きしている世帯や一人親などにとって、子どもが病気やけがで保育園を利用できない場合の受け皿確保は切実な悩みだ。別の預け先が見つからなければ仕事を休むなどしなければならず、それらがネックとなり希望する職に就けないといったケースもある。

 県内では、各地で病児、病後児保育の実施施設が増えつつあり、寒河江市も2015年度から、回復期の子どもを預かる病後児保育を民間の保育園1施設に委託している。新たに、回復期に至っていない子どもを預かる病児保育にも取り組むことで、安心して子育て・就労できる環境がより整うことになる。

 クリニックが併設される新しい「なか保育所」は、市内の寒河江八幡宮に隣接する旧寒河江服装専門学校跡地に建設される予定だ。約4200平方メートルの敷地内に保育所と医療保育棟を建設し、その保育棟のテナントとして小児科クリニックが入る。病児保育には保育士や看護師が常駐して対応する。また、保育所の定員をこれまでの120人から160人に拡充。引き続き病後児保育を行うほか、低年齢児の受け入れ拡大も図る。

 小児科クリニックや病児・病後児保育施設があるかどうかは、出産、移住・定住、就職などを考える上で重要な判断材料だ。特に人口減少、少子化が加速する地方においては、それら子育て環境の充実が今後の鍵を握っていると言えよう。各自治体は知恵を絞り、若い世代を引きつける施策を推し進めてほしい。