3総合病院 再編へ検討始動*人口減の室蘭 官民で初*診療科集約狙い/課題は不採算部門

2017.11.15


<アングル>3総合病院 再編へ検討始動*人口減の室蘭 官民で初*診療科集約狙い/課題は不採算部門
2017.11.12 北海道新聞
 


 【室蘭】将来の人口減に伴う医療需要の減少を見据え、室蘭市内の3総合病院の再編を話し合う「地域医療のあり方検討会」(事務局・室蘭市)が11日に始まった。重複する診療科の集約や、医師の効率的な配置を目指し、本年度中に報告書をまとめる。道によると、官民を合わせた病院再編は実現すれば道内で初めて。個々の利害関係を超えて地域医療全体の将来像を示せるか、注目される。(室蘭報道部 須田幹生)

*共倒れの危惧も

 市立室蘭総合(24科、549床)、日鋼記念(24科、479床)、製鉄記念室蘭(23科、347床)の3病院。検討会は各病院や市医師会、医学部を持つ道内3大学などの10人で構成し、同日の初会合で議論を開始した。2018年3月までに再編に向けた課題を洗い出し、報告書を作成。それを受け、18年度に市が中心となり作業部会を立ち上げ、具体的な作業に入る。

 背景には、医療圏の人口に対する病院の過剰感がある。西胆振の人口は現在、19万人を切っており、50年前のピーク時と比べ3割減。25年にはさらに2万人減の17万人になると推計されている。経営の悪化で「共倒れになりかねない」(新井一・市立病院事務局長)との危惧があり、数年前から地域医療体制の見直し論はくすぶっていた。

 医師確保の難しさもある。市立病院では16年度の1年間で、内科や外科、麻酔科などで常勤医が計8人減り、52人から44人になった。18年度からは大規模な病院などで専門医を育てる新専門医制度が始まり、さらに地方の勤務医が減ることも想定されている。

 引き金となったのは、道が昨年策定した地域医療構想だ。25年の西胆振の必要病床数を15年比27%減の2826床とする目標を掲げた。危機感を抱いた室蘭市の青山剛市長が今年8月に検討会発足を表明した。

 再編の狙いは、重複する診療科を整理統合し、分散している医師と患者を集中させることだ。集約で診療科に十分な人数の医師を配置できれば、夜間医療も充実でき、多忙な医師の勤務状況の改善も期待できる。

 医師を派遣する大学の医局へのアピールにもつながる。集約に伴い症例数が増えるため、若い医師にとって経験を積む場としての魅力が増すからだ。

 再編への本格議論に向け、日鋼記念病院の柳谷昌仁院長は「地域の人口規模を考えれば1病院が適正」と指摘。製鉄記念室蘭病院の松木高雪理事長は「病院が競い合うのではなく、地域で医療を成り立たせることが大事」と話す。

*赤字抱えたまま

 ただ、公立も含めた病院再編のハードルは高い。収益性の低い診療科を引き受けざるを得ない市立病院では、赤字が恒常化。16年度決算で経常損失2億5600万円を計上した。民間の2病院にとって、赤字を抱えたままの市立病院と再編するのは難しい。

 不採算部門の継続も課題だ。例えば結核病床(24床)の昨年度の稼働率は15%。13年度末で道立苫小牧病院が閉院したため市立病院は現在、胆振、日高管内で唯一の受け入れ先となっている。市立病院の土肥修司事業管理者は「誰にでも必要な医療を提供するのが使命。収益性が低くても継続する必要がある」と話すが、再編議論の中でどう位置づけられるかは不透明だ。

 3病院が話し合いの場につけたのは大きな前進だ。しかし、議論が進めば利害関係の調整は難航が予想される。病院経営に詳しい高崎健康福祉大(群馬県)の木村憲洋准教授(病院経営)は「人口減の中、病院の機能をどう集約、再編していくかは病院にとって死活問題。地域医療を守るために、各病院のトップが覚悟を決める必要がある」と話している。