勤務医 高齢化と都市集中*道内の病院 道医師会が調査*30、40代の割合減/地域枠で偏在対策を

2017.11.09

勤務医 高齢化と都市集中*道内の病院 道医師会が調査*30、40代の割合減/地域枠で偏在対策を
2017.11.08 北海道新聞朝刊全道 


 道内の病院に勤める医師(勤務医)の高齢化と、都市部に医師が集中する地域偏在が悪化傾向にあることが、北海道医師会の調査で分かった。厳しい気象条件と広大な面積を抱える道内で、今後も医師の偏在などが進めば、地域によっては医療環境がさらに厳しくなりかねない状況が浮き彫りとなった。(根岸寛子)

 札幌市内で10月21日に開かれた「全国医師会勤務医部会連絡協議会」(日本医師会主催)で発表された。

 調査は道内の病院を対象に実施。新医師臨床研修制度開始2年前の2002年度と14年度、16年度のデータを基に分析した。

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 勤務医の高齢化は、計3年のすべてについて回答した221病院で比較した。20代の占める割合は、02年度の12%から16年度は14%に微増したのに対し、30代は同33%から同24%、40代は同30%から同26%にいずれも減少した。その一方で、50代以上の割合は02年度に25%だったのが16年度は36%に増え、医師の高齢化がうかがえた。

 地域別の勤務医数(384病院)については、14年度は札幌が2608人(全体の43%)だったほか、旭川752人(同12%)、日高・胆振497人(同8%)、道南461人(同8%)、帯広・十勝397人(同7%)などと続き、札幌地区と旭川地区への医師の集中が顕著に見られた。

 14年度の勤務医数を02年度と比べると(両年度について回答した297病院)、札幌(18%増)、帯広・十勝(12%増)、道南(7%増)、旭川(5%増)といずれも増え、北見は同数だった。これ以外の6地区はすべて減り、特に釧路・根室は37%、道北(旭川を除く)は20%の減だった。

 さらに、14年度と16年度(両年度について回答した272病院)の比較では、札幌(3%増)以外の10地区すべてで勤務医が3~14%減少し、年を追うごとに、都市部に医師が集中する地域偏在が進んでいた。

 結果を発表した函館中央病院の山田豊医師(小児科)は「札幌への一極集中が加速している状況がわかった。道内の偏在対策の切り札は、地域枠(大学医学部を卒業後の地元勤務を条件に奨学金を設ける)だと考える」と話した。

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 同連絡協議会は1981年から毎年開かれ、道内開催は2回目。今回は全国から勤務医ら409人が参加し、意見を交わした。このうち、内閣府大臣官房審議官の大島一博さんが「人口減少時代の医療提供」と題して特別講演した。

 大島さんは「(日本の人口は)2040年までは若手が減り、65歳以上が増え続ける特異な時期」と指摘。40年に高齢化率が約40%のピークを迎えるとし、「この時期をどう乗り切るかがポイント。再来年10月に消費税が10%に上がったとすれば、おそらくその次(の対策)に向けた議論が始まる」とした。

 また、国民医療費と財政維持を両立する方策の一つに、高齢者が健康に暮らすための「地域づくり」の重要性を挙げた。

 「60歳で退職後も30、40年の暮らしがあり、特に地域での暮らしの比重が増してくる。社会資源を生かしたり、外出先をつくったり、生涯現役の場をつくるなど、市町村の役割・責任は非常に大きくなってくる」と話した。

 このほか、シンポジウムでは、道内の30代、40代の若手医師らが地域医療の現状と課題について語った。

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<表>地域別の勤務医数の変化(省略)

【写真説明】地域医療の現状と課題を話し合った全国医師会勤務医部会連絡協議会

北海道新聞社