[2017衆院選やまぐち] 地域医療の将来 どう描く 県内の市町経営病院64%が赤字 集約化 患者に不安

2017.10.12

[2017衆院選やまぐち] 地域医療の将来 どう描く 県内の市町経営病院64%が赤字 集約化 患者に不安
2017.10.08 中国新聞 


[2017衆院選やまぐち]

地域医療の将来 どう描く

県内の市町経営病院 64%が赤字

集約化 患者に不安

 衆院選(10日公示、22日投開票)では地域医療の将来像への議論も期待される。「負担が増すだけ。患者に良いことは一つもない」。周防大島町の東和病院で2日にあった町病院事業局の説明会。同病院の人工透析を12月から同じく町立の大島病院に集約する方針に、患者から反発が噴出した。(余村泰樹)

 石原得博・病院事業管理者は、医師確保や経営の厳しさを強調。透析専門の常勤医師が不在で新規患者を受けられない現状や、嘱託医が近く退職予定で体制が維持できないとし、理解を求めた。

 両病院は、ともに患者約50人を受け入れられる機器を備えるが、現在の患者は東和10人、大島21人。透析の実施は月、水、金曜のみで、2017年度は大島が約3630万円の黒字、東和は約610万円の赤字見通しだ。事業局は、透析専門の常勤医師が新たに着任するのを機に大島病院に一本化。月曜から土曜の週6日に実施日を拡大する考えだ。

通院の距離負担

 ただ病院間は20キロ以上離れ、車で約30分かかる。事業局は「通院手段は必ず確保する」とするが、1日4時間、週3回の治療が必要で、透析後には体のだるさに悩まされる患者には不安が広がる。

 今も夫(82)の車で20分かけて東和病院に通院する女性(72)は「近くて安心していたのに」と戸惑う。

 医療従事者の不足に加え、町立病院の経営は逆風にさらされる。合併前、橘病院を含めた3病院体制が始まった1967年に約4万いた人口は1万7千人を割り、患者も減少。看護師の多い病院に手厚い、診療報酬の改定なども追い打ちを掛ける。3病院を含む事業局の16年度の赤字は、一般会計からの約10億円の繰り入れにかかわらず6億円を超えた。

経営効率化に力

 合併で周防大島町が誕生した04年度から東和病院が赤字に陥り、07年度には全3病院が赤字に。黒字時に蓄えた施設整備基金は07年度の90億円から16年度には53億円に減った。

 全国的に自治体病院の経営は厳しい。15年度は全国で6割近く、県内でも市町経営の64%が赤字だった。打開策として山陽小野田市は08年度、山陽市民病院を小野田市民病院(現山陽小野田市民病院)と統合。光市は11年度までに、光総合病院を急性期、大和総合病院を療養型に機能分担した。岩国市も錦中央と美和の両市立病院が医薬品を共同購入するなど効率化を図る。

 全国自治体病院協議会(東京)は、採算面から民間参入が難しい地域を支える自治体病院の意義を強調。「中山間地域の中小病院は地域医療に重要」として国に診療報酬の配慮を求める。ただ団塊世代が75歳を迎える25年を前に、社会保障費は膨張を続ける。

 周防大島町でも「3病院に全ての医療が同じように必要か考えなければ。効率化を図らねば、いずれ存続の危機に陥る」(椎木巧町長)と、住民の安心安全と病院経営の両立をいかに図るかは喫緊の課題だ。高齢化と人口減少が加速する地域の医療にどう向き合うか、総選挙ではその姿勢も問われている。