持分なし医療法人への移行促進、助産所と医療機関との連携強化を?厚労省

2017.10.05

 
 
 
持分なし医療法人への移行促進、助産所と医療機関との連携強化を?厚労省
2017年10月2日医療計画・地域医療構想
 
 「持分あり医療法人」から「持分なし医療法人」への移行促進に向けて、新たな認定制度を10月1日からスタートさせる。また妊産婦の異常に対応するため、助産所に医療機関との連携を10月1日から義務付ける?。
 
 厚生労働省は9月29日に通知「『医療法等の一部を改正する法律』の一部の施行について」を都道府県知事らに宛てて発出し、こうした点の周知を依頼しました。
 
持分なし医療法人への移行に向け、「認定医療法人」制度の要件を事実上緩和
 
 今年(2017年)6月に改正医療法(医療法等の一部を改正する法律)が成立しました。特定機能病院の管理・運営体制の強化や医療広告規制の見直しなどが盛り込まれており、順次施行されますが、10月1日からは、(1)妊婦または産婦の異常に対応する医療機関の確保など(2)持分の定めのない医療法人への移行計画―などがスタートします。
 
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医療機関ホームページを広告に加え、虚偽広告などを禁止する規定などを改正医療法に盛り込んだ医療機関ホームページを広告に加え、虚偽広告などを禁止する規定などを改正医療法に盛り込んだ
 
まず(2)は「持分あり医療法人」から「持分なし医療法人」への移行促進を狙うもので、新たな「持分なし医療法人への移行に関する厚生労働大臣の認定」制度が始まります(事実上の要件緩和、期限延長)。具体的には一定の要件を満たす「持分あり医療法人」が、「持分なし医療法人」への移行計画を厚労相に提出し、認定されることで、移行期間(最大3年)において▼出資者の相続に係る相続税を猶予・免除する▼出資者間のみなし贈与税を猶予・免除する―という税制上の特例措置を受けられるものです【認定医療法人】。
 
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医療法改正案(その4)、持分なし医療法人への移行を促進するために、認定医療法人の要件を事実上緩和し、期限を延長する医療法改正案(その4)、持分なし医療法人への移行を促進するために、認定医療法人の要件を事実上緩和し、期限を延長する
 
今般の通知では、「要件」について次のような点が明らかにされました。
【医療法人の運営に関する要件】
 
▽社員・理事など当該医療法人の関係者に特別の利益を与えない
 
▽理事・監事の報酬などについて、民間事業者の役員の報酬や従業員の給与、当該医療法人の経理状況などを考慮し、「不当に高額なものとならない」ような支給の基準を定めている
 
▽営利事業を営む者などに寄附などの特別の利益を与える行為を行わない
 
▽当該医療法人の毎会計年度の末日における遊休財産額が、直近に終了した会計年度の損益計算書に計上する事業に係る費用の額を超えてはならない
 
▽法令違反、帳簿書類への隠蔽・仮装した記録・記載、その他公益に反していない
 
【医療法人の事業に関する要件】
 
▽社会保険診療、健康増進事業(健康診査に係るものに限る)、予防接種、助産、介護報酬の収入金額合計が、全収入金額の8割超
 
▽自費患者に対する請求を「診療報酬と同一基準」で計算している
 
▽医療診療の収入が、医師、看護師などの給与、医療提供に要する費用(投薬費を含む)など、患者のために直接必要な経費の額の「1.5倍」の範囲内である
 
助産所は、予め「妊産婦の異常に対応する嘱託医療機関」を定めなければいけない
 
(1)は、助産所と医療機関との十分な連携がなかったため、妊産婦異常に適切に対応できず母子ともに死亡してしまったという事故への反省から、「助産所が予め嘱託医療機関を定めておく」ことを求めるものです。
 
 まず助産師に対し、妊産婦・家族へ▼助産・保健指導方針▼異常に対応する病院・診療所の名称、住所、連絡先▼緊急時の電話番号その他の連絡先―などを記載した書面(電子メールなども可能)を交付し、適切な説明を行わなければなりません。
 
このうち「助産・保健指導方針」としては、例えば、▽助産・保健指導を行うことができる妊産婦の状態▽妊娠中に起こり得る異常や合併症▽妊婦健診の時期・回数▽異常の際の具体的な対応方法―などを記載することが考えられます。
 
また「異常に対応する病院・診療所」としては、妊産婦の異常に対応することを予め承諾した嘱託医療機関を指します。出張のみで業務を行う助産師の場合には、▽産科▽産婦人科▽小児科―を有し、かつ、新生児への診療を行うことができる病院・有床診療所を嘱託医療機関として定めておかなければいけません。
 
ただし、異常分娩など緊急事態が生じた場合には、各都道府県に設置されている周産期医療協議会によって整備された緊急搬送の連携体制を活用して適切な医療機関への搬送・受入が行われるものと期待されますが、この場合にも「必ず嘱託医療機関などを経由しなければならない」という趣旨ではない点には留意が必要です。