93歳医師 患者に勇気 福岡・広川町の中村さん 不屈の精神 けが克服 リハビリ経験生かし助言

2017.09.19

93歳医師 患者に勇気 福岡・広川町の中村さん 不屈の精神 けが克服 リハビリ経験生かし助言
2017.09.18西日本新聞


 18日は敬老の日。福岡県広川町には93歳で現役の男性医師がいる。町内の姫野病院でリハビリを担当する中村義太さんだ。5年ほど前の転倒事故で腰や頸椎(けいつい)を痛め、一時は体を動かせなくなったものの、リハビリの末に復帰。不屈の精神の持ち主が、患者に勇気を与えている。日本医師会によると、100歳を超えても現役医師だった日野原重明さんが7月に亡くなった中で「90歳代の現役医師は珍しい」という。 【2面参照】


 「何の病気で来たんかね」。白衣姿で背筋をピンと伸ばし、通所リハビリの女性(90)に軽快に話し掛ける。腰を痛め、不安を口にする女性に「なせば成る、という言葉があるやろ。しっかりやらにゃ」。患者としての“先輩”でもあるだけに、説得力は抜群だ。

 平日の朝9時から夕方まで、外来患者などに対応するリハビリ室の常勤医師として働く。患者の血圧をチェックし、助言する日々。「今のところ目と耳はちゃんとしとります」。つえも持っているが「お守りのようなもの」と笑う。

 現在の同県八女市立花町の農家に生まれた。旧制八女中を卒業後、九州帝国大付属医学専門部に進学。学費や生活費が支給される軍医委託生に選ばれたため医学への道に進むことができた。「奨学金のようなもので医師になることができたから、できるだけ続けないかん」。そんな思いで、今も患者と向き合っている。

 終戦後の1947年に医師不在だった地元で内科医院を開業。60年以上にわたって地域医療に携わった。2010年に閉院後、誘いを受けて姫野病院のリハビリ担当医となった。

 ほとんど大きな病気をしたことがなかったが、5年ほど前に大けがをした。自宅近くで散歩中に転倒したことが原因で体が動かなくなり、腰と頸椎を手術。入院、療養生活が続いた。周囲も「もう現場は無理か」と思っていたが、リハビリにより徐々に回復。昨年3月から職場に復帰した。

 健康の理由は「強いて言うなら、生命線が2重にあることかな」。冗談っぽく笑いつつ「何歳まで続けるかは、全く考えとらんです。でも、体を動かさんと我慢できんから」。言葉に力強さがみなぎっている。 (泉修平)