福岡県気になる/X=地域包括ケア構築へ模索 飯塚医師会など推進協議会で議論着手/筑豊

2017.08.30


福岡県気になるX=地域包括ケア構築へ模索 飯塚医師会など推進協議会で議論着手/筑豊

2017.08.29 西日本新聞 


 ●職種の連携、人材育成など課題 制度浸透へ住民の関与も重要

 取材現場で「2025年問題」を聞く機会が増えた。25年には団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となり医療や介護サービスへの需要が増えることから、社会保障制度の維持や人材確保の点で関係者は危機感を募らす。国は解決策として、25年までに生活圏の実情に応じた「地域包括ケアシステム」作りを要求。飯塚医師会は飯塚、嘉麻両市や桂川町などと準備を始めたところだが、残された時間は8年を切った。官民一体になった「飯塚方式」の支援体制は構築できるのか。


 飯塚医師会などは16年度から管内を5ブロックに分けて「地域包括ケアシステム推進協議会」を立ち上げ、課題の洗い出しに着手。6月末に飯塚市で開いた報告会で、各地区の拠点病院医師が初年度を総括した。

 飯塚市立病院の武冨章管理者はシステムを構築し、運用するには、多職種間の連携強化の重要性を指摘。「現状では医療と介護の間に大きな心の壁がある。この壁を取り払うため、多数による情報共有を進めるネットワーク型の関係を作ってはどうか」と提案した。

 頴田病院の本田宜久院長は、国による終末期についての調査で「なるべく自宅で最期を迎えたい」という回答が52%だった例を紹介。飯塚医療圏では年間2200~2500人が亡くなっており、現状では自宅でのみとりは約250人(約10%)。「例えば目指す方向を倍の500人に設定すると、関係者同士でめざす顔の見える関係作りに加えて、数字の見える関係も明確になって達成がより現実的になる」と語った。

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 意見交換に移った後半の討論では、ケアマネジャーの年齢構成も議論された。ケアマネジャーの集まりである飯塚市居宅介護支援事業者連絡協議会によると、同市内50事業所で働くケアマネジャーは170人で、現在20代がおらず30代27%、40代が36%で50代24%。原田琴枝会長は「25年には今の50代以上がおそらくいなくなる。離職率も高く、人材確保は不可欠」と人材育成の必要性を強調した。

 西日本新聞社筑豊総局の西村隆幸総局長は、住民へのPRについて「システムの主役は本人、家族、地域の代表。少なくとも今後は地域の代表を巻き込む方がいい」と提言。「飯塚病院が認定した870人の地域医療サポーターなどの存在を行政が把握しておけば、救急の際の手助けになるのではないか」と述べた。

 飯塚医師会の松浦尚志会長は「5地区での協議は多職種連携のきっかけ。働きやすい環境をつくることで、減少していくマンパワーを補いたい」と総括。来賓の片峯誠・飯塚市長は「行政として広報と現状把握の重要性を認識した。地域を支える人材の育成にもチャレンジしたい」と述べた。

 地域包括ケアシステムについて住民の認知度をどう高めて関与を深めるか。制度構築の先に求められる順調な運用に向けた鍵になりそうだ。 (糸山信)

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 ●知っちょる?=地域包括ケアシステム

 高齢者が重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で人生の最期を迎えられるよう、住まいや医療、介護を一体的に提供する仕組み。国が構築を推進しており、団塊の世代(約800万人)が75歳以上になる2025年までに、在宅医療の充実で病床数を減らし、医療費の抑制を目指す。