麻生グループ 17年3月期連結 病院事業苦戦 資産運用補う 不動産、有価証券へ投資増

2017.08.07

麻生グループ 17年3月期連結 病院事業苦戦 資産運用補う 不動産、有価証券へ投資増
2017.08.04 西日本新聞


 麻生グループの飯塚病院(福岡県飯塚市)が苦境に陥っている。グループの2017年3月期連結決算では、全6事業のうち、セメント製造業や情報・ソフト事業など5事業は4億~77億円の営業利益を記録したが、飯塚病院が核となる医療関連事業は8億4千万円の営業赤字(前期は2億円の赤字)。病院を運営する「麻生」は本業を補うかのように近年、不動産や有価証券への投資を拡大させている。 (座親伸吾)


 7月20日、飯塚病院で「ハイブリッド手術室棟」の安全祈願祭があった。筑豊地区では唯一、心臓や脳のカテーテルに特化した高度医療施設だ。ベッド数は千床以上。九州有数の医療機関は来年、開院100年を迎えるが、域内の人口減もあって、16年の外来患者数は46万2千人で4年前から2万人超減少した。

 さらに、患者の医療費は非課税だが、病院は薬などの仕入れで消費税を支払うため5%から8%の引き上げ時からコスト負担が大きく、診療報酬のマイナス改定も響いた。医療関連事業の売り上げは359億円。このうち、病院部門は321億円で前期比2・6%減だった。医療関連事業での営業赤字は3年連続だ。

 全国でも数少ない株式会社の運営。本業が厳しさを増す中、麻生は戦略的な投資にかじを切る。

 16年12月には、検索大手グーグルが自社オフィスとして賃借する米ロサンゼルスの建物を約350億円で取得。収益性の高い海外不動産に目を付け、今後も数百億円規模で投資する方針だ。投資有価証券は、麻生単体の決算では146億円。4年前の57億円から買い増している。麻生単体では病院運営が大半を占めるため営業赤字が4億800万円だが「受取利息・配当金」として23億5千万円を計上し、純利益は13億4千万円だった。

 一方、連結ベースの有利子負債は1086億円(前期比258億円増)に達する。東京商工リサーチ北九州支店の緒方賢治課長は「金融機関から借り入れを起こし、有価証券の運用益で収益を生み出している」とした上で、「非上場の地方企業に金融機関がこれだけお金を貸すのも麻生の信用力があるから。今は投資効果を上げているが、リーマン・ショックのように資産価値が下がったときにリスクは大きい」と指摘する。

 これに対し、麻生の取締役も務める増本陽秀院長は「地域によりよい医療を届けるため、安定した経営基盤を確保するのが経営を任せられている私の使命。病院経営は利益追求ではない」と強調する。

 麻生グループは1872年に石炭採掘業として創業した。17年3月期連結決算は売上高が1503億円、経常利益が108億円、純利益が47億5千万円。事業別の売上高ではセメントが380億円で最も大きく、その次が医療事業だ。

 麻生は九州経済連合会会長の麻生泰氏が会長、その長男の巌氏が社長を務めている。グループで医療以外の事業が堅調なだけに、地域医療と安定経営をどう両立させるかが、課題といえそうだ。

西日本新聞社