2017知事選・課題を追って(3) 医師不足 病院再編、安定図る

2017.08.08


2017知事選・課題を追って(3) 医師不足 病院再編、安定図る
2017.08.07 茨城新聞

鹿島労災病院と神栖済生会病院の2病院を再編統合し、神栖済生会は増築して本院に、鹿島労災は跡地に分院を新築する基本構想が4月に決まった。病院の再編統合に関する検討結果報告書によると、2病院は慢性的な医師不足を背景に、病床稼働率の低下に伴う赤字決算などが顕著だった。統合により経営基盤の強化と医療資源の集約を図ることによって、地域に十分な医療を提供できる体制の再構築を狙う。

同報告書によると、鹿島労災病院の常勤医師数は2009年の40人から、13年は10人、16年は14人となり10人台まで減少していた。神栖済生会病院は、09年が10人、13年が16人、16年が20人と、わずかに増加傾向にあったものの、2病院を合わせた医師数は減少していた。

また、病床稼働率は、神栖済生会が44.7%、鹿島労災が15.1%(ともに14年)で、全国平均の74.8%を大幅に下回っていた。14年度の決算は2病院とも赤字を計上し、経営状況は逼迫(ひっぱく)していた。

4月の基本構想決定の際、前県医師会長の小松満再編統合協議会長は「救急患者もしっかりと受け入れられる医療体制をつくらなければならない」と強調し、再編後の医師の確保などに全力を挙げる方針を示した。

県内の人口10万人当たりの医師数は177.7人で全国ワースト2位(14年度)。県内9エリアの二次保健医療(一般的な入院治療に対応)圏別に見ると、鹿行が90.7人で最も少ない。次いで筑西・下妻が101.3人、常陸太田・ひたちなかが109.2人と続く。全国平均は244.9人で、この3医療圏は半分を下回る一方、水戸が221.5人で平均に近く、つくばが369.6人で平均を大きく上回り、地域間で極端な偏りが見られる。

県は、若手医師に県内にとどまってもらおうと、医学生に対し、研修期間を含めた県内勤務を条件に修学資金を貸与する「地域医療医師修学資金(地域枠)」を導入。16年度は7大学計53人の定員を設けている。

筑波大学付属病院の松村明院長は今月2日、県議会保健福祉委員会で県内の医療福祉分野の人材確保策について説明し、「(地域枠の勤務期間が終了した後も)生涯県内の医師として定着してもらうことが必要」とし、「そのためには医師にとって働きがいのある病院や環境を整えることが重要」と指摘した。

県内は、神栖市以外の地域でも、病院再編の動きが相次いでいる。筑西・下妻保健医療圏内の桜川、筑西両市内の筑西市民病院と県西総合病院、山王病院の3病院は、新中核病院、県西部メディカルセンター(筑西市)とさくらがわ地域医療センター(桜川市)の2病院に再編され、18年10月の開院を目指す。

また、県内で6病院を運営する県厚生農業協同組合連合会(JA県厚生連)は本年度から、6病院を2グループに再編する。水戸協同病院(水戸市)から高萩協同病院(高萩市)や西南医療センター(境町)に医師を派遣するなど、病院間で医師を融通し合い、経営基盤の安定を図る。

同厚生連の小堀信弘理事長は本年度の事業説明の際、「病院同士の連携により医師派遣ができるようになったのは非常に大きい成果」と述べた。(成田愛)