医師不足 見えぬ打開策 尾道市民病院の診療縮小

2017.07.25

[フロントライン備後] 医師不足 見えぬ打開策 尾道市民病院の診療縮小 JA病院負担増 市長 広域連携探る
2017.07.23 中国新聞 




尾道市民病院の診療縮小 JA病院負担
 尾道市民病院(新高山)が4月、夜間の内科系医師の診療を週5日から3日に縮小し、JA尾道総合病院(平原)の負担が増している。診療日の縮小は医師の減少が原因で、抜本対策は見えていない。地域医療を守るための具体策が急がれる。(村島健輔)

 市民病院は4月から、医師の減少に伴い夜間の内科系医師の診療を週5日から3日に縮小した。山本浩樹庶務課長は「医師の負担なども考慮し、地域の医療体制を守るための判断」と説明する。

 診療縮小により、夜間と休日、同病院に救急車で搬送された患者の月平均人数は減少。2015年度の161・6人に対し、17年度(4、5月)は92・5人だった。

JAへ搬送1.24倍

 一方、JA病院への今年4、5月の救急車搬送の総数は計587件で、前年同期の1・24倍に増えた。「土日の救急車の数は去年の約1・5倍になった」と瀬浪正樹病院長代行は話す。

 JA病院の職員でつくる県厚生連労働組合(広厚労)尾道支部によると、症状の重い患者が増えている。12床の高度治療室(HCU)がいっぱいになることも日常化した。「一般病床を含め負担が増えている」と指摘する。

 平谷祐宏市長は、市民病院の医師確保の必要性を指摘するが、医師不足は「構造的な問題」とする。県の「ふるさと枠」の拡充を訴えるなどしているが、成果は出ていない。

 市が今春策定した新病院改革プランは、医師増が難しくなった中での経営改善策だ。全体の16・6%に当たる48床を地域包括ケア病棟に転換し、年内での分娩(ぶんべん)休止も決めた。

「調整役が必要」

 平谷市長は「市外を含め広域での仕組みづくりを進めたい」と、連携に活路を見いだそうとする。瀬浪病院長代行も「症状の段階による病院間の役割分担」を挙げるが、転院による患者との信頼関係などの課題があり、調整役の必要性を指摘する。

 広島国際大の江原朗教授(医療政策)は「役割分担によって医療機関の収益に大きな変化が出ないよう配慮が必要」とする。広厚労尾道支部は「地域で医療を賄うためには、人的・経済的な支援が必要」と訴える。

クリック 尾道市の新公立病院改革プラン

 2016年度に3億7300万円の赤字を見込む市民病院の経常収支を、20年度に1億9700万円の黒字とする目標を掲げる。「断らない救急」の継続▽290床中48床を地域包括ケア病棟に転換▽医師が1人の診療科については、他の診療科への影響が少ない場合、採用環境が好転するまで中断を検討―などの計画を盛り込んだ。