医療・介護一体での効率化急務 経財諮問会議で首相が改革指示

2017.04.14


医療・介護一体での効率化急務 経財諮問会議で首相が改革指示
2017.04.13 FujiSankei Business i.



 安倍晋三首相は12日開かれた政府の経済財政諮問会議で、2025年に「団塊の世代」が75歳以上に達する「超高齢化社会」に備え、地域での医療・介護の提供体制改革を急ぐよう指示した。47都道府県が16年度末までにまとめた「地域医療構想」を具体化し、一体で効率化を進める。社会保障費の自然増は年間1兆円に達し、財政健全化に向けて、医療・介護費の抑制が急務だ。

 「(構想を進めるため)自治体の先進事例の横展開や病床のスムーズな転換など、実効的な施策をスピード感をもって実施してほしい」。首相の指示は、民間議員と塩崎恭久厚生労働相の提言を踏まえたものだった。

 民間議員は医療・介護費用の抑制に向け一体的な改革を進めることを提言。地域間で異なる医療・介護行為を是正するため、高齢化要因などを除いた地域別のレセプト(診療報酬明細書)データを公表して比べられるようにすることなども求めた。

 一方、塩崎厚労相は「地域医療構想」を着実に進めるため、企業の健康保険組合や市町村などに対して、都道府県の統括機能を強化する考えを示した。

 「地域医療構想」は、都道府県内をいくつかの地域に分け、25年時点でどれくらいの医療需要があるかを予測して必要な医療提供体制を整備するものだ。14年に成立した医療介護総合確保促進法で、策定が義務づけられた。手術、救急など高度医療を重視してきた従来の病院を再編し、慢性の病気を抱える高齢者の在宅医療を促すのが狙いだ。不要な病床削減などを通じ医療費を抑える狙いがある。

 在宅医療で重要となるのは介護との両立。両サービスの連携のため、かかりつけ医と介護従事者の情報共有といった取り組みも重要となる。18年度は6年に1度の医療・介護報酬の同時改定期にあたるなど、一体で改革するのに適したタイミングでもある。

 医療政策に詳しい東京財団の三原岳研究員によると、「都道府県は在宅医療と介護などの一体的な提供体制の構築に前向きだが、病床削減については、地元医師会の反発を恐れ、後ろ向きになる」という。

 「住民も含む関係者の納得を得ながら進める」(三原氏)といった配慮をすることはもちろん、改革に向けた強い覚悟をどこまで共有できるかが、医療・介護費抑制の鍵をにぎる。(山口暢彦)

日本工業新聞新社