少子化対策に立ちはだかる規制の壁を破れー保坂さん

2017.04.06

少子化対策に立ちはだかる規制の壁を破れー保坂さん




 、産後ケアをめぐり法律のエアポケットが生じた事例を挙げましょう。

 世田谷区には「武蔵野大学付属産後ケアセンター」があります。出産直後から産後4カ月までの母子がゆったり過ごすことのできる居室があり、助産師による母体や乳児のケアや授乳指導・育児相談などを受けることができる施設です。区民であれば、最初の1泊は6400円、2泊目以降は3200円で7日まで利用できます。人気が高く、いつも満杯です。全国の自治体から、視察や見学が引きもきらない施設でもあります。

 この施設は、2008年に武蔵野大学の協力をえてスタートしました。「産後ケア施設」の理想を形にしたという意味では、世田谷区の誇るべき事業と言えます。

 ところが、日本で初めての試みだったため、国の補助金はなく、都の補助金と区の独自の予算で維持しなければなりませんでした。その影響なのか、視察する自治体の多さにもかかわらず、なかなか全国に広がっていきません。

 産後ケアセンターの設立には、財政面での優遇がないだけでなく、規制の壁も立ちはだかっていました。それまで前例がなかったため、産後ケアセンターは建築基準法上は「児童福祉施設等」とみなされ、床面積600m²以上となると、低層住宅専用の地域につくることができないのです。また、法的な位置づけがないために旅館業法が適用され、施設整備のための負担ものしかかることになります。世田谷では建設予定地がたまたま準工業地域だったので運良くクリアできましたが、第2、第3の産後ケアセンターをつくることはできない状態が続いています。

 世田谷区は「子育て応援特区」を国家戦略特区に位置づけるよう国に申請した際、こうした制約を取り払い、障壁となっている規制を緩和することを求めました。しかし、今のところ前向きな回答はえられていません。こうなったら、国と直接交渉して正面突破をはかるか、永田町でロビー活動をして、「産後ケアセンター」を法的に位置づける議員立法を成立させる以外に道はありそうにありません。

 政治の仕事とは、法令や規制を不動の前提にして、できない言い訳を考えることではありません。不合理で、現実にあわない法令や規制を改めることこそ、政治の仕事です。「産後ケアセンター」は、国の少子化対策の一例としてたびたび紹介される事業ですが、法令と現実の間にある隔たりは放置されてきました。その壁を突破するのも、自治体と首長の役割だと考えています。

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妊娠出産包括支援事業


子育て世代包括支援センターを整備するとともに、家庭や地域での孤立感の解消を図るために相談支援を行う「産前・産後サポート事業」や、退院直後の母子に対して心身のケアや育児のサポート等のきめ細かい支援を行う「産後ケア事業」などを地域の実情に応じて市町村が実施しています。

妊娠期から子育て期にわたるまでの様々なニーズに対して切れ目なく総合的相談支援を提供するワンストップ拠点(子育て世代包括支援センター)の整備を進め、保健師等の専門職が全ての妊産婦等に対し相談支援を行い、必要に応じて支援プランの策定や必要なサービスにつなげるなどの支援を、平成28年度は296市町村で実施しています。また、産前・産後サポート事業及び産後ケア事業を160市町村で実施する予定です。

担当省庁

厚生労働省
雇用均等・児童家庭局 母子保健課
03-5253-1111(代表)