夕張市が策定した新たな財政再生計画について、菅官房長官が読売新聞北海道支社のインタビューに応じた。

2017.03.10

[再生夕張]菅官房長官インタビュー 新計画 街づくりの象徴に=北海道
2017.03.09 読売新聞



 ◆ふるさと納税 支援に活用

 夕張市が策定した新たな財政再生計画について、菅官房長官が読売新聞北海道支社のインタビューに応じた。菅氏は、新計画が成功すれば、過疎化に悩む全国の自治体に大きなヒントを与えられるとの期待感を示した。

 --夕張市が国の管理下で再建を始めた10年前、総務相を務めていた。財政破綻後の夕張市の歩みをどう見るか。

 「総務大臣に就任していた当時、役所の御用納めを終えた後、夕張市を訪れた。この間、(夕張市職員時代も含め)鈴木直道市長はよくやっている。353億円の赤字のうち116億円を今年度中に返済するなど、着実に財政再建のめどはついてきており、高く評価したい。『夕張予備軍』と呼ばれた周辺自治体が(危機感を持ち)財政破綻することなくしっかり運営できているのも大きな動きだ」

 --急速な人口減が進む夕張の姿は全国の自治体の未来図だ。

 「全国で過疎化が進む中、夕張の姿はこれからの街づくりの象徴になる。特に中心部に主要施設を集約するコンパクトシティーを成功させれば、大きな影響を与えられる。この10年で希望や未来が描けるようになってきた。財政再建と地域再生に皆で取り組んでほしい。国もしっかり応援する」

 --財源面での見通しは。

 「夕張の取り組みを見て、ニトリや、漢方薬大手のツムラが企業版ふるさと納税を通じて支援に名乗りを上げた。これらを活用して市営住宅の再編事業などに光を当てている。財政再生計画の変更で若い人や子育て支援のほか、地域資源を活用した未来に希望の見える取り組みが始まる。次の10年に向けて可能性は極めて大きい」

 --破綻当初は、厳しいスタンスで臨んでいた。

 「当時、夕張に対する周囲の視線はネガティブで、職員給与や住民サービスについて全国の同規模自治体の中であえて一番低いところからスタートすべきだと判断した。そのうち、必ず応援する声が出てくると思ったが、想定以上に増えてきた。財政再建と地域再生の両立へ、理解は得られると思う」

 --鈴木市長との信頼関係も大きいようだ。

 「徒手空拳で若い人が厳しい状況に乗り込み、市民とともに再生しようという情熱は、国としても個人的にも応援したい」

 --特別交付税を支出することには「優遇しすぎだ」との意見もある。

 「高市総務相も熱い思いを持っており、支援を検討する中で出てきたアイデアだ。特別交付税はこれまでも、自然災害などのほか地域医療の充実など法律の枠内で使われてきた経緯があり、(夕張への交付は)致し方ない。今後、夕張以外でも『頑張っていれば応援しよう』となるのは自然。何もせず、ダメになったら応援する時代は終わった」


 〈財政再生計画〉

 企業でいえば倒産にあたる自治体を立て直す計画。夕張市の場合は2029年度までを計画に組み込んでいる。変更には国の同意が必要。7日に高市総務相が同意した新計画は、財政再建と地域再生の両立を目指した点が特徴で、子育て支援など138億円分の新規事業を盛り込んだ。行政の効率化と暮らしやすさを両立させる「コンパクトシティー」構想も進める。財源は国からの特別交付税やふるさと納税などを充てる。26年度までに「借金」の完済を目指す方針は変えない。