社説 米沢市・新法人創設構想 住民本位の医療連携に

2017.02.17

社説 米沢市・新法人創設構想 住民本位の医療連携に
2017.02.16 山形新聞



 米沢市の市立病院と三友堂病院の連携協議が本格化した。先月18日に市医療連携あり方検討委員会の初会合が開かれ、新法人を創設し、グループとして一体的な病院経営を目指す方向性を確認した。その可否を含め、連携手法について年内をめどに結論を出す。検討結果は置賜地域全体の医療提供体制に関わる。将来を見据え、住民本位の議論を求めたい。

 あり方検討委は中川勝米沢市長、渡辺孝男市病院事業管理者、仁科盛之三友堂病院理事長に加え、嘉山孝正山形大医学部参与、小林正義市医師会長が委員となり、嘉山氏が委員長に就いた。初会合で方向性が示されたのは4月の改正医療法施行で可能となる「地域医療連携推進法人」の創設だ。持ち株会社型と言われ、連携推進法人が全体を統治し、その傘下で地域内の異なる法人が事業を展開。一体経営によって患者情報の一元化、病床再編や職員の再配置、機器の共同利用、医薬品の共同購入などが可能となる。県内では日本海総合病院を運営する県・酒田市病院機構など5団体が2017年度中の新法人設立を目標に協議している。

 米沢市のあり方検討委は、グループの核となる病院事業体制の方向性も共有している。市立病院と一般財団法人である三友堂病院を再編統合し、地方独立行政法人による新病院を設置。救急医療の確保を最優先課題とした上で、新病院に急性期診療科を集約し、リハビリセンターなどを持つ三友堂病院に回復期、慢性期医療をまとめる構想だ。

 たたき台がそろった形だが、課題は多い。公立と民間の再編統合となるため、両病院の財務状況、職員の処遇をどうするかだ。とりわけ市立病院は93億円という巨額の累積欠損金を抱える。一方で連携はまったなしの状況と言える。市立病院は外来診療・管理棟が1965年、中央診療棟は84年に完成。三友堂病院も71年に建てられた施設が残る。両病院とも老朽化により建て替えを迫られている。

 団塊の世代が後期高齢者となる2025年を見据え、国は各都道府県に地域医療構想策定を義務付けた。本県の構想では置賜地域の病床数について、現行(許可病床)の2179床に対し、25年に必要な数は1749床と推計。特に急性期病床は1113床から610床に減少するとした。このままでは過剰状態になると指摘し、病床集約を課題に挙げる。さらに地域内には建て替え時期が迫る病院が多く、医療機関間での病床機能の分担・連携を積極的に推進する必要があるとされた。国は地域医療構想によって膨らみ続ける医療費抑制を狙う。ただ、少子高齢化が進展する中、同時に地域医療の充実は不可欠だ。在宅医療を含め、包括的な体制構築が求められる。

 あり方検討委は今後、2、3カ月に1回のペースで会合を持つ。新病院は置賜地域の基幹病院の一つとして医療の高度化や多様化に対応しなければならない。慢性的な医師不足対策も大きな課題だ。その意味で検討委の委員に各機関、団体のトップが名を連ねた意義は大きい。とりわけ、委員長の嘉山氏は山大医学部長、国立がん研究センター理事長などを歴任し、現在も同センター名誉総長を務める。そのリーダーシップに期待したい。