<アングル>函館市立3病院 遠い再建*函館、恵山、南茅部*累積赤字32億円*医師確保も不透明

2017.02.07

<アングル>函館市立3病院 遠い再建*函館、恵山、南茅部*累積赤字32億円*医師確保も不透明
2017.02.03 北海道新聞朝刊全道 




 【函館】函館市は、赤字経営が続く市立3病院(函館、恵山、南茅部)の経営を立て直すため、事業改革プランの素案をまとめた。約32億円に膨らむ累積赤字について、2016年度一般会計から約15億円を病院事業会計に繰り入れて圧縮するほか、入院件数の増加などを図り、単年度収支は20年度に黒字化する計画だ。ただ、累積赤字を解消するめどは立たず、入院件数増加の鍵を握る医師の確保も不透明で、再建の道のりは険しいままだ。(函館報道部 青山修二)

 「黒字になると言っていたのに大赤字になった。『ばら色の計画』に終わっている気がしてならない」

 素案が説明された1月17日の市議会民生委員会で、市議から早速、実現性を疑問視する声が上がった。3病院の中核をなす函館病院で16年度に約500万円の黒字になるとの計画を立てながら、12億円近い赤字が見込まれる事態に陥り、11年度に一般会計から約29億円を投入したのに続き、またも一般会計から繰り入れるからだ。

 素案では、赤字の原因について医師の退職者を補充できずに15年度から精神病棟を休止したほか、改築工事による騒音で入院制限をしたことをきっかけに入院患者数が減少したため、などと分析。直近の16年度上半期の統計では、目標の1日あたりの入院患者数471人に対し、実績は408人にとどまった。

 市は、診療のもたらす収入に対する累積赤字の割合が、法令上、経営を国に管理される20%を超える事態を懸念。素案では、一般会計から病院事業会計に約15億円を繰り入れ、今後も最大16%台に抑えることを明記した。また「経営効率化を図るための取り組み」として入院件数や患者の増加、診療報酬の増加につながる国の評価ランクの引き上げなどを掲げた。

 しかし、単年度収支は17年度も約12億円の赤字を見込み、累積赤字は徐々に減るものの20年度でも約30億円が残る。経営効率化を図る取り組みも、従来、手を付けていたものがほとんど。入院件数や患者の増加には医師の確保が必要になるが「大学の医局に頼みこんで、医師を派遣してもらうしかないのが実情」(函館市の担当者)と明かす。

 例えば精神病棟は、素案で現在の1人から3人に増員し、18年度の再開を目指すと明記しているが、実際に医師が派遣されるかについて、市は「はっきり言えない」と言う。麻酔科、産婦人科など6診療科も、退職や異動した医師各1人の補充が喫緊の課題だ。

 工藤寿樹市長は1月20日の記者会見で、一般会計から繰り入れる15億円の財源に関し「(行財政改革で)せっかく積んできた財政調整基金と減債基金(計約56億円)を充てざるを得ない」と説明した上で、将来、独立行政法人化や民営化などを検討する可能性に言及。市幹部からは「今後、3回目の一般会計からの繰り入れも考えなければならないかもしれない」との声も上がる。

◇病院に対する国の評価ランク◇

 国は、手術件数や病院の機能などに応じて、全国の病院を「大学病院本院(1群)」「大学病院本院に準じた医療機関(2群)」「その他の医療機関(3群)」に区分し、ランクが高いほど、入院中の医療費など診療報酬を高く算定する仕組みを取る。市立函館病院の評価は2014年度に2群から3群に引き下げられ、赤字の一因となっている。

*経営効率化に向けた主な取り組みと、見込まれる収入増額や経費節減額

入院件数・患者数の増加                   約6億円増

精神科医を1人から3人に増やし、18年度からの病棟再開   約1億6千万円増

紹介されてくる患者率増などによる国の地域医療支援病院の指定 約1億1千万円増

手術件数の増加などによる国の評価ランクのアップ       約1億円増

専門業者に委託する省エネ(エスコ事業)の導入        約3千万円の経費減