地方自治法改正 内部統制と監査を強化したい

2017.02.06

地方自治法改正 内部統制と監査を強化したい
 

2017年02月05日 読売新聞

公務員の不祥事を防止し、行政を適正に運営することは、地方自治の根幹である。自治体への住民の信頼も高めよう。
  
 
 
 総務省は、自治体の内部統制を制度化し、監査機能を強化する地方自治法改正案を今国会に提出する方針だ。

 独立した会計検査院が国費の使途をチェックする政府機関に比べて、自治体は、外部の監視の目が届きにくい。それを効果的に補う仕組みを整えねばならない。

 法改正のきっかけは、2008~10年に全都道府県・政令市で発覚した不正経理である。

 会計検査院による国庫補助事業の検査で、取引業者に物品を架空発注して裏金を作るなどの事例が相次いで見つかった。神奈川県の約33億円など、不正経理の総額は約111億円にも上った。

 自治体は、行政改革の進展で職員数が減少傾向にある。近年は、個人情報の大量流出など、情報技術(IT)化に伴う新たなリスクにも直面している。

 多くの民間企業では、一人の職員に業務を任せきりにせず、複数で支出を確認するなど、不祥事を防ぐ内部統制が定着している。

 公金を扱う自治体では、より高い職業倫理が求められる。トップの責任を明確にし、適正な業務遂行体制を構築するのは当然だ。

 改正案では、内部統制に関する方針の策定を首長に義務づけ、責任者を置くなどの体制整備を求める方向だ。首長は毎年度、報告書を作成し、議会に提出する。都道府県と政令市を対象とし、その他の市町村は努力義務とする。

 自治体は、民間の事例も参考にして、内部統制の実効性を高め、職員の意識改革を図るべきだ。

 自治体の監査委員は、財務や行政運営が適正かどうかを調べる役割を担う。だが、監査は形骸化しがちで、専門性に欠けるとの批判がある。監査で是正を指摘されても、実際にどう対応するかは自治体の裁量に委ねられている。

 このため、監査基準の策定と公開を義務づける。監査委員には是正を勧告できる権限を与え、自治体に勧告の尊重を求める。

 有識者を監査専門委員に任命することも可能にする。IT関連の高額な契約など、妥当性の判断が難しい課題に取り組むためだ。

 監査の効果を高めるには、制度改革だけでなく、監査委員事務局の体制を強化し、職員の研修を充実させることが重要だろう。

 職員の内部統制と、監査委員によるチェックを「車の両輪」として機能させねばならない。

2017年02月05日