[新春に聞く-かごしま2017]鹿児島県医師会長の池田〓哉さん(70)/多職種での連携必要

2017.01.11

[新春に聞く-かごしま2017]鹿児島県医師会長の池田〓哉さん(70)/多職種での連携必要
2017.01.04 南日本新聞社 


 ―2016年はどんな年だったか。

 「(団塊世代が75歳以上となる25年の地域医療の将来像を示す)県地域医療構想策定に向けて、県内を九つに分けた医療圏ごとや県全体で協議してきた。地域の医療体制のデータを分析し、共有する場を初めて持った意義は大きい。将来の医療需要に対し、地域で足りない部分を認識し合えた」

 ―少子高齢化社会の中で医療はどうあるあるべきか。

 「地域医療構想は策定できた。医療、介護、予防、住まい、生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムの中で果たす役割を考えていかなければならない。地域の医療や福祉などの現状を共通認識することが大事だ。医療機関は、自分がどのように地域に貢献できるかを考える必要がある」

 「人が生きていくには医療だけでなく、総合的な支援が必要だ。看護師、介護士、歯科医師、薬剤師、栄養士など多職種の連携が大切になる。医療と介護はこれまで別に進んできた。壁を乗り越え、時間をかけて融合していかなければならない。顔を合わせて話をする場を増やしたい」

 ―県医師会は基金・はやぶさプランを設置して寄付を募り、16年4月から助産師や看護師を志す学生や産婦人科研修医らに助成している。

 「全国的に産科医療の担い手が少ない。県内に1人でも2人でも増やしていかなければと、基金を立ち上げた。22人が助成を受けている。産科に携わる人を支えないと、未来はない。人材育成が必要だ」

 「人材は医療だけの問題ではない。国は病院から在宅医療への移行を進めているが、介護人材も確保しなければ対応できない。25年問題を乗り越えるには本気で対策をしないと間に合わない」

 ―国会で環太平洋連携協定(TPP)が承認された。米国が日本の国民皆保険制度に介入することなどが懸念されたが、次期大統領のトランプ氏は脱退の意向を示している。

 「米国が脱退したとしても安心はできない。日米の2国間交渉で日本の保険制度や薬価への介入など問題が噴出する可能性は十分ありうる。米国の動きを注視していきたい。国民皆保険制度は日本の大事な文化だ。安心して医療が受けられるよう、必死に守り抜かなければならない」

 ―今年取り組みたいことは。

 「熊本地震では鹿児島からも日本医師会災害医療チーム(JMAT)を現地に派遣した。この経験をもとに、県医師会として災害対策を本格的に進めていきたい。桜島大爆発や大地震が起きた時、医師会は何をするのか。まずは初動から考えて、訓練までしたい。防災は無理でも、減災態勢を作っていく」(聞き手・川畑美佳)

 いけだ・たくや 霧島市出身。日本医科大学卒業後、鹿児島大医学部小児科入局。琉球大医学部小児科助教授などを経て、1985年から鹿児島市の池田病院勤務。2001年に同院院長に就任。10年から現職。