(地域包括ケア@新潟:49)「地域医療構想」大詰め 医療機能の調整、住民参加で/新潟県

2017.01.31

(地域包括ケア@新潟:49)「地域医療構想」大詰め 医療機能の調整、住民参加で/新潟県
2017.01.28 朝日新聞



 人口減少、少子高齢化という大きな人口構造の変化を見据え、2025年の医療や介護のあるべき姿を示す「地域医療構想」の策定作業が、県でも大詰めを迎えている。昨年、すでに素案が公表され、年度内に策定される予定だ。次はいよいよ、構想をどのように進めていくか、具体的な協議が始まる。


 「地域医療構想の実現に向けて、一番大事なのは話し合いをすること」

 22日、東京都内で開かれた勉強会「地域医療構想・計画は進んでいるか」(患者の声協議会主催)で、厚生労働省の佐々木健・地域医療計画課長は強調した。

 同構想は、団塊の世代が75歳になる25年に必要な医療機関のベッド数を、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4機能ごとに推計し、その実現に向けた施策を定めるのが主な内容。厚労省は「16年半ば頃までの策定が望ましい」とし、16年末までに39都道府県が策定を終えた。

 新潟県は15年に県保健医療推進協議会の専門委員会として地域医療構想策定部会を設置。市町村説明会や県内七つの構想区域ごとの検討を経て素案を公表し、昨年12月6日から今年1月10日まで県民からパブリックコメントを募った。その結果を整理して修正を加えた後、3月には正式に策定する予定だ。


 ■減る入院患者数

 素案では、県内の入院患者数は14年の1万7313人から25年には1万5978人に減少すると推計する。各構想区域ごとに、入院患者数の現状と将来推計=図=、それに対応したベッド数を示すとともに、地域の特性、医療を巡る現状と課題などを記している。公共交通機関が乏しい地域では「市民バス、乗り合いタクシー、病院の送迎車、福祉タクシーの利用、患者同士の送迎協力などの方策を検討する必要がある」と指摘している。

 県内では、人口減少が進む一方、高齢化率(65歳以上が占める割合)は増加を続け、40年には38・7%まで上昇すると推計される。この人口構造に合わせて、誰もが住み慣れた地域で人生の最期まで暮らし続けられる医療・介護の態勢を整備する必要がある。

 今後は、医療機関の間で自主的に、患者数の減少に応じてベッド数を減らしたり、提供する医療の機能を変えたりする調整が求められる。そのために、構想区域ごとに、医療機関や住民などが参加する「地域医療構想調整会議」が設けられることになっている。

 佐々木課長は「まずはどの構想区域にも不可欠な救急医療や災害医療について、中心的に担う医療機関はどこなのかをテーマに話し合うのが得策だ」と話す。その上で、調整会議が、個々の医療機関が「我が病院は、こういう医療が提供できる」とプレゼンテーションの場になることが好ましいという。

 各医療機関は、今後、地域の中でどのような役割を果たすべきか、立ち止まって考えることが求められている。ただ、現実には医療機関の経営問題に直結するだけに簡単な話ではない。地域の住民も、身近な医療機関が縮小されたり、機能変更によって手術をしなくなったりすることに対し、不安を抱きがちだ。


 ■共倒れ回避必要

 しかし、人口減少の地域では、同じ機能を持つ医療機関ばかりになれば適切な医療が受けられない。将来は過当競争に陥り、共倒れが起きかねない。「身近な病院が、一斉にバタッと倒れてしまう可能性がある。そうならないためにも、住民の皆さんには、地域医療構想に関心をもってもらいたい」(佐々木課長)

 住民の関心を高めようと北海道や岐阜県、沖縄県などでは、同構想の策定過程で、医療関係者や住民が参加できるシンポジウムやタウンミーティングを開催した。一方、新潟県では、そのような場は開かれないまま、住民への周知や意見の反映は、パブリックコメントにとどまっている。

 厚労省が定める「地域医療構想ガイドライン」では、都道府県に対して、構想の策定段階から「タウンミーティングやヒアリングなど、様々な手法により、患者・住民の意見を反映する手続きをとること」を推奨している。今後、始まる調整会議では、県内でも十分な住民参加が実現することが期待される。(松浦祐子)