土浦協同病院、移転新築費用膨らみボーナス大幅カット 2017年1月20日

2017.01.26

土浦協同病院、移転新築費用膨らみボーナス大幅カット  2017年1月20日

昨年暮れ、土浦協同病院で実施された半日ストライキ(茨厚労提供)


 昨年3月に移転・開院した土浦協同病院(運営は県厚生農業協同組合連合会=メモ参照=)の新築移転費用が、計画の約350億円から約468億円に膨れ上がり、県厚生連は、経営立て直しを迫られている。

建築資材や建築作業員の人件費の高騰などが原因という。これにより県厚生連は2015年度決算で過去最高の87億円の経営赤字を計上した。

昨年9月に、理事長、専務、参事の役員3人が交代し、県信連などから新役員が就任した。冬のボーナスをめぐっては、県厚生連は昨年暮れ、県内6病院などの職員のボーナス大幅カットなどを提示したため、反発する労働組合が24年ぶりに半日ストを実施、交渉が越年する混乱が続いている。

現時点で、医師や看護師など職員に冬のボーナスはまだ支給されていない。

労組、24年ぶり半日ストで対抗

 茨厚労によると、もともと多忙な勤務体制の中、ボーナスの大幅カット方針が示されたのを機に、張り詰めていた気持ちが切れ、年度末で退職を希望する医師や看護師が増えているという。
 

冬のボーナス交渉で経営側は、経営立て直しの一環で、例年なら2カ月分支給するボーナスを0・5カ月分とし、さらに退職金の積立金(退職給付引当金)を3年間凍結する案を示した。茨厚労によると3年間凍結で、20年勤務の職員の場合、最大約180万円の退職金減額になるという。

 昨年、計3回の団体交渉を実施したものの決裂。12月20日、6病院で約800人が参加してストライキが決行された。厚生連のストは1992年の看護師増員・賃上げ要求春闘以来、24年ぶり2度目。ストライキは初めてという看護師らも多かったという。ストの際は応援もあり患者などへの影響はなかった。

 昨年団交が決裂して以来、今月19日までに、団交は行われていない。茨厚労の組合員からは、経営責任のツケを職員が負わされることに対する疑問の声が出ているという。

年度末の退職意向25%

 茨厚労によると、夜勤や長時間労働など勤務体制が過酷な総合病院は退職希望者が多い。県厚生連の場合、定年退職者も含め年度末に10%程度の退職者がいるが、看護職員を対象にした調査では、25%程度が3月末で退職したいという意向を示しているという。
 
厚労中央執行委員の安本真理子さんは「少ない人数で何とかやりくりしている診療科もあり、診療体制が維持できなくなる恐れがある」とし「経営側がいう経営改善すらままならないばかりか、地域医療が崩壊しかねない」と危惧(きぐ)している。

 さらに栃木県と埼玉県の病院新築を例に「人件費を削減すると、医師や看護師の大量退職が相次ぎ、診療科が維持できなくなって患者が減少、さらに経営が悪化するという悪循環に陥り、病院そのものを維持できなくなるという教訓がある」と強調する。

 その上で安本さんは「協同病院は歴史的に地域住民、とりわけ農業者が自らつくった病院。自治体から現在、建設費や医師確保の補助金を受けており、地域医療を守るという公的医療機関としての使命がある。

栃木や埼玉と同じ道をたどらない方策をとってほしい」と訴える。「職員が安心して働ける職場であることが地域住民が安心できるより良い病院づくりにつながる」として、自ら積極的に地域に出向いて現状を伝え、病院を守りより良くする運動を展開している。

 これに対し経営側の奥田聡参事は「経営を立て直し、地域医療を守る道筋をつくっている。暮れの団体交渉時点では将来の見通しを示せなかったが(現時点では)見えてきているので、近々、来年度の見通しと併せて、組合に新たな提案を示したい。全職員に対しても2月10日までに説明会を開きたい」としている。
(鈴木宏子)


メモ

県厚生連(茨城県厚生農業協同組合連合会)
 水戸、高萩、土浦、取手、行方市、境町の6カ所で六つの総合病院と、看護学校、診療所などを運営している。職員は約4300人。