[医療なび]都道府県の地域医療支援センター 医師の偏在解消 実績に差

2016.11.21

[医療なび]都道府県の地域医療支援センター 医師の偏在解消 実績に差
2016.11.20 読売新聞


 医師の地域偏在を解消するため、医師配置の司令塔となる地域医療支援センターが今年4月までに全都道府県に設置された。ただ、運営は手探り状態で、医師不足の病院に対する医師の派遣・配置調整ではセンターごとに実績にばらつきが出ている。医師が所属する大学医局との連携強化など取り組みの充実が求められる。(西原和紀)

 全国の医師数は増え続けており、2014年末時点で31万1205人。ただ、04年度から医学部卒業後の研修医が病院を自由に選べるようになった影響で地域偏在が深刻化した。同じ都道府県内でも、都市部とへき地の人口あたりの医師数を比べると、最大10・6倍の較差がある=表=。

 そこで全国に設置が進められたのが、地域医療支援センターだ。11年度から国の補助事業として始まり、14年10月には医療法改正で設置が努力義務となった。人員は専任医師2人、専従職員3人が基本で、大学病院や県庁内などに置かれている。各医療機関の医師不足の状況を把握し、若手医師の配置調整などを行うことで偏在解消を目指す。

 しかし、各センターの活動実績には大きな差がある。厚生労働省の今年7月時点の調査では、派遣・配置調整の実績は、岩手県が271人、香川県が221人に上る一方、神奈川、鳥取、愛媛県は0人だった。

 派遣・配置調整の対象となるのは、主に修学資金を貸与された医師たちだ。こうした医師の数や、大学医局との連携に都道府県で差があることが実績に影響している。今後期待されるのが、今年度から医療現場で働き始めた大学の「地域枠」出身の医師だ。原則9年間、特定地域で勤務することを条件に修学資金の返済が免除される。埼玉県は実績がまだ4人だが、「地域枠卒の医師によって今後は大きく膨らむ」(県医療整備課)と説明する。

 ただ、派遣・配置調整にあたって、センターに大きな権限がないことを懸念する声は多い。徳島県地域医療支援センター長で徳島大学病院長の永広信治さんは「人事権を持つ大学医局との調整に苦労することもある」と明かす。

 効果的な活動が実現できるよう、地域内で連携を強める動きもある。島根県の「しまね地域医療支援センター」は13年に県内の病院や市町村、医師会など55団体が集まって一般社団法人化し、「オールしまね」の取り組みに力を注ぐ。秋田県の「あきた医師総合支援センター」では、県と大学が週1回のペースで意見交換を重ねる。センター長の長谷川仁志さんは「厳しい現状に思いを同じくし、県、大学、医師会が一体となって偏在解消に取り組むことが重要だ」と話す。

 ◆定着へキャリア形成カギ

 医師に地域へ定着してもらうためには、大学を卒業後、地域の病院で働きながら、医師として技術が向上できるキャリア形成支援がカギとなる。

 キャリア形成に不安があれば、地域で働く義務年限が終わる前に借りている修学資金を返還し、県外へ流出してしまう恐れがあるからだ。このため、医師不足の病院と中核病院を回りながら、専門医資格が取得できるなどの道筋を示したプログラムの策定が進む。厚労省の調査(今年4月時点)では、28都道府県が策定済みと答えた。

 徳島県地域医療支援センターでは、病院名や取得できる専門医資格を盛り込んだ全52コースの研修プログラムをホームページ上に公開している。副センター長の赤池雅史さんは「医師の単なる配置調整だけではうまく機能しない。人材育成も合わせた取り組みが欠かせない」と話している。


 図=医師の地域偏在解消に取り組む地域医療支援センターの仕組み/各地域医療支援センターの医師派遣・配置調整の実績と、地域内の医師数較差

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