〈亀田総合病院〉「病棟」開始7年、常駐6人に存在感 大塚氏「将来は30人以上の体制へ」

2016.11.22

〈亀田総合病院〉「病棟」開始7年、常駐6人に存在感 大塚氏「将来は30人以上の体制へ」
2016.11.21 Medical & Test Journal 



 亀田総合病院(千葉県鴨川市、一般865床・精神52床)の臨床検査室は、以前より行っていた早朝の病棟採血に加え、新たに2010年ごろから検査技師による病棟業務を開始、今年で7年目に入る。臨床検査管理部の大塚喜人部長は、現在、救命救急センターなどの病棟に技師6人が常駐し、今後も拡大させたい意向を示す。看護部からは、患者看護に充てる時間が増えたと歓迎されているという。臨床検査室の病棟進出の取り組みをリポートする。

 大塚部長は、救命救急センターで検査技師が業務を行うため「救命救急検査士」という院内資格制度を発足させた。資格取得のために整形外科病棟で6カ月間研修を行い、バイタルサイン測定および患者への対応など看護師から指導を受けた後、医行為の介助、外傷患者への対応の研修を救命救急センターで行い、院内資格を取得する教育プログラムを構築させた。現在は救命救急センターのほか、集中治療室、循環器内科病棟、血液腫瘍内科病棟に技師を常駐させ、関連病院の安房地域医療センター(同県館山市、149床)にも1名検査技師を出向させている。

●ナースコールに積極的に対応

 最初に病棟業務を行った臨床検査室主任の野村俊郎氏は、「当初、看護師側から、業務が取られるのではないかと警戒された」と振り返る。そこで野村氏は、「まず、患者の介助から始めた」という。ナースコールが鳴れば何でもやるといった意欲をみせた。さらに男性ということで、患者のベッド移動など力仕事を積極的に行い、その結果、看護師の信頼が得られたと話す。現在は検査関連の業務は検査技師が行い、その分看護師は、患者看護に充てる時間が増え、病棟で技師と看護師の共存が図れるようになったという。

 「以前は検査室から病棟に異常値が報告されても、医師に正確に伝わらないことがあった」と野村氏は指摘する。病棟技師は、医師に必要事項をすぐに的確に伝えることができ、もし、医師に疑問があれば、その場で対応することができる。病棟と検査室とのパイプ役になっているという。

 救命救急センターに常駐する検査技師は、検査関連業務以外に静脈ライン確保や心肺蘇生介助などを行う。また病棟では、技師が血圧や酸素飽和度(サチュレーション)などバイタルサインを測定し、看護師へ報告している。

●患者とのコミュニケーションも

 病棟の早朝採血についても野村氏は、「手技だけでなく患者とのコミュニケーションも大切」と指摘する。採血禁忌部位の指示、血液培養採血など2カ所以上からの採血が必要な場合など、その都度、患者に丁寧な説明が必要だ。手の血管が細いと足から採ることもある。スムーズに採血を行うためには、患者の理解を得ることが重要だ。看護師は、朝の忙しい時間帯にこのような採血を行わねばならず、技師が早朝採血を行うことで、看護師の負担が軽減したと歓迎されている。

 大塚部長は、「採血管の種類、採血後の扱いなど検査の目的に応じて対応ができるのが検査技師」と述べ、正確な検査のために病棟採血は検査技師が行うべきと指摘した。

 また、野村氏は、「正確な検査のために検査技師が病棟に常駐する意義は大きい」と話す。病棟の患者の急変時、すぐに心電図検査が必要になることがある。検査室まで移動させる時間的な余裕はない。慣れない看護師では電極のずれによる波形の変化などで診断に影響を与えることがあるからだ。

●病棟でも検査精度の向上を

 大塚部長は、病棟業務において「看護師による十分な看護が必要なように、技師によって病棟検査の精度を上げることも重要」と述べる。例えばインフルエンザ抗原検査などは、検査実施者によっても検査結果は変わると指摘。検体採取部位、検体の質によって偽陰性になることがあるという。検体の扱い方で、診断が変わり、誤った治療が行われることを危惧。病棟や外来検査について、検査技師がフォローする必要性を強調した。

 今後の病棟業務について大塚部長は、「将来的には、2つの病棟に1人の割合で検査技師を派遣させたい」と語り、24の病棟、ICU、救命救急センターに24時間体制でシフトを組むと、あと30名以上が必要になるとの考えを示した。