医療再編始まる酒田 一部縮小に住民不満も 2016年11月11日

2016.11.11

医療再編始まる酒田 一部縮小に住民不満も  2016年11月11日

 山形県庄内北部で、県と酒田市が出資する地方独立行政法人「山形県・酒田市病院機構」(山形県酒田市)を中心とする医療の再編が始まった。超高齢社会を見据えて入院ベッド(病床)の再編や連携を促す地域医療構想を念頭に置き、地域の保健医療体制の抜本見直しに着手する。一方で、医療体制の一部縮小に直面する地域からは不満の声が上がっている。
 病院機構と市内の医療・社会福祉法人、地区医師会など計5団体が9月中旬、新型医療法人「地域医療連携推進法人」の設立に向けて協議会を発足させた。2018年度までの立ち上げを目指す新法人は、独立した複数の医療・介護施設の利害調整や業務連携のマネジメントを担う。
 参加団体は、機構が運営する庄内北部の基幹病院・日本海総合病院(646床)を中軸に、職員の相互派遣や医薬品の共同購入などのルール作りに着手した。
 18年は診療報酬と介護報酬の同時改定がある。酒田市も水面下で進む新法人設立の動きに合わせて、医療人材不足や多額の繰入金が懸案だった市立病院と診療所を18年までに機構に移管・統合する方針を固めた。
 八幡病院(46床)を無床診療所化した上で、移管する考えを昨年12月に表明。残る飛島、松山、地見興屋(じみこうや)の3診療所も機構の傘下に入れる内容だ。
 酒田市や機構の背中を押したのは、9月下旬に県が策定した地域医療構想。28万人近い庄内地域の人口は、25年には3万3800人減ると試算される。県は急性期病床を大幅に減らすなどし、全体で2割程度の病床を削る目標を示した。全病床が急性期の八幡病院の無床化は、その第1弾となる可能性が高い。
 しかし、05年に酒田市と合併した旧八幡町時代から続く病院の無床化が唐突に示されたことに、市が今年から開催を重ねる住民説明会では「ベッドをなくせば人口減少が加速する」「合併しなければよかった」と反対する意見が続いた。
 市は診療科の増設やシャトルバスの運行といった支援策を提示したが、住民の合意は得られていない。
 東北でも先行する医療再編のうねりに、丸山至酒田市長は「時代環境を考えるとやむを得ない面もある。酒田や庄内全体という単位では、決して医療環境が悪くなることはない」と理解を求めている。

[地域医療構想]団塊世代が75歳以上となる2025年を見据え、各都道府県が将来の医療需要や病床数を推計し、目指す医療提供体制などを定めるビジョン。病床を、救命救急や集中治療を担う「高度急性期」、次に緊急性の高い「急性期」、リハビリや在宅復帰に向けた「回復期」、長期療養向けの「慢性期」に分類し病床数の調整を図る。国全体では1割超の病床数削減が目標。在宅医療拡充のため、医療と介護サービスとの連携強化を進める。