医療 亀田総合病院元幹部が提訴 暴露される病院と官僚の闇

2016.10.03

News(4) Inside 医療 亀田総合病院元幹部が提訴 暴露される病院と官僚の闇
2016.10.08 週刊ダイヤモンド 



 民間病院の名門である亀田総合病院(千葉県)を2015年9月に懲戒解雇された元副院長の小松秀樹医師が今年9月、同病院などを展開する亀田グループの経営者2人、さらに厚生労働省と千葉県の職員2人を相手取り、二つの民事訴訟を起こした。闇に葬り去られるとみられていた、解雇の舞台裏にある真実を明らかにしようというのだ。

 論客としても著名な小松医師は、国や県の政策とは異なる独自の地域医療を推進し、補助金支給をめぐる問題などで行政批判の記事を執筆してきた。そんな小松医師に亀田上層部は約1年前、「(厚労省関係者から)行政の批判を今後も書かせるようなことがあると、亀田の責任と見なす。そうなれば補助金が配分されなくなるとほのめかされた。千葉県への批判をやめてもらえないだろうか」と頼んだ。

 小松医師はそれに従うどころか、厚労省職員による不当な圧力への調査と厳正な対処を厚労相に求める文書を提出することにした。同医師によると、省内の知り合いに相談目的で渡した文書原案をある厚生官僚が入手して同省出身の千葉県健康福祉部の課長と共有、同課長から亀田の経営者に渡った。直後、同医師は懲戒解雇された。


◆懲戒解雇で言論抑圧か


 亀田の経営者2人を被告とする訴状は千葉地方裁判所に受理された。懲戒解雇処分は無効であるとして当初の雇用契約期間に支払われるはずだった未払いの給与と顧問料の相当額を逸失利益として請求。これに慰謝料などを加えた損害賠償請求総額は約1957万円に上る。

 法律上、解雇する場合は1カ月前の予告か1カ月分の手当支払い、あるいは労働基準監督署の解雇予告除外認定を受ける必要がある。これらの要件を満たさずに解雇されたというのが原告側の主張だ。

 もっとも、肝は慰謝料も請求している点にある。懲戒解雇処分をする過程に精神的損害を与えるような言論抑圧があったのか、事実関係を争うことになるからだ。

 この訴訟とは別に、厚労相宛ての文書原案を外部に流したとして、厚生官僚(世界保健機関〈WHO〉に出向中)と千葉県の課長に慰謝料など約25万円を求めて東京地方裁判所に提訴した。公務員が私的に言論を抑圧した点を追及するもので、同件で原告側代理人の井上清成弁護士は「内部情報の通報、情報公開請求を行った人について、みだりに利害関係者に知らせること自体が問題」とする。

 現時点で被告が在籍する亀田、厚労省と千葉県の担当課はいずれも具体的なコメントを控えている。

 果たして権力を持つ者が不法に、医療者および地域の取り組みをつぶしたのか。民事裁判では一般的に原告と被告への尋問が行われる。当事者たちが法廷に引っ張り出されるであろう二つの訴訟は、損害賠償請求額よりはるかに大きな意味を持つ。