農業協同組合の監事の任務懈怠責任

2016.09.15

 

農業協同組合の監事の任務懈怠責任
対象事件:最高裁平19(受)第1503号
事 件 名:損害賠償等請求事件
年月日等:平21.11.27第二小法廷判決
裁判内容:破棄自判、請求容認
掲 載 誌:判タ1314号132頁、判事2067号136頁、金法
     1909号84頁、金判1342号22頁
◆判 旨……………………………………………………………………………………………….
 農業協同組合の監事は、理事の業務執行が適法に行われているか否かを善良な管理者の注意業務をもって監査すべきものであり、組合において、その代表理事が理事会の一任を取り付けて業務執行を決定し、他の監事らがかかる代表理事の業務執行に深く関与せず、監事も理事らの業務執行の監事を逐一行わないという慣行が存在したとしても、そのような慣行自体適正なものとはいえないから、監事の職責は、これによって軽減されない。
 

農業協同組合の代表理事が、補助金の交付を受けることにより組合の資金的負担のない形で堆肥センターの建設作業を進めることにつき理事会の承認を得たにもかかわらず、補助金の交付申請につき理事会に虚偽の報告をして組合の費用負担で用地を取得するなどして建設工事を進めた場合において、代表理事が、理事会において、それまでの説明には出ていなかった補助金の交付申請先に言及しながら、それ以上に申請先や申請内容に関する具体的な説明をせず、補助金の受領見込みについてあいまいな説明に終始した上、その後も、補助金が入らない限り同事業には着手しない旨を述べていながら、補助金の受領見込みを明らかにすることもなく組合自身の資金の立替えによる用地取得を理事会に提案し、なし崩し的に建設工事を実施に移したという事実関係の下では、代表理事の一連の言動は、同人に善管注意義務違反があることをうかがわせるに十分なものであるから、監事には、代表理事に対し、補助金の交付申請内容やその受領見込みに関する資料の提出を求めるなど、建設資金の調達方法について調査、確認する義務があり、この調査、確認を行うことなく同事業が進められるのを放置した監事は、その任務を怠ったというほかない。