解説・主張しずおか=市立御前崎病院30年 変わる地域医療環境-安定経営へ改善重ねて

2016.09.05

解説・主張しずおか=市立御前崎病院30年 変わる地域医療環境-安定経営へ改善重ねて(武田愛一郎/御前崎支局)
2016.09.02 静岡新聞 


 御前崎市の市立御前崎総合病院が創立30年を迎えた。同市の拠点病院として地域医療を担ってきた一方、医師不足や赤字経営など課題を抱える。多くの公立病院が共通の課題を持つ中、国や県は団塊の世代が75歳になる2025年を見据え、医療制度を大きく見直している。地域の拠点病院を巡る環境は変革期にあり、運営の在り方が問われている。

 同病院は1986年4月に旧浜岡町立浜岡病院として建てられた。中部電力浜岡原発3号機の増設に伴う町の潤沢な財政や町民の強い要望で実現した。2004年の合併による同市発足で現在の名称になった。

 慢性的な医師不足が続く中、12~13年に基幹の内科や外科の医師が相次いで退職。14年には緊急の対応が必要な急性期の病床を107床から60床に減らし、夜間の救急患者の受け入れも制限した。減らした病床の一部復活や常勤の小児科医が10年ぶりに赴任するなど、明るい兆しはあるものの、14年度は11億5千万円(他会計からの繰り入れを除く)の赤字を計上した。経営改善が喫緊の課題だ。

 県によると、県内の公立病院22施設のうち、14年度に黒字だったのは5病院にとどまり、同病院を含む17病院が赤字。国の公立病院改革ガイドラインでは、公立病院の役割について、採算性などの面から民間では困難な医療を提供することと明記されていて、公立病院を採算面だけで評価はできない。ただ、安定した経営は良質な医療の提供にもつながる。

 県は今年3月、医療介護総合確保推進法に基づき、25年にあるべき医療体制の姿を示した県地域医療構想をまとめた。県内を八つの医療圏に分け、各圏域で医療機関の役割を分担することが柱の一つ。急性期に力を入れる病院、急性期を診つつも主に回復期や慢性期を担う病院というように役割を分ける方向で、医療関係者らが協議を行っている。中東遠圏域に入る市立御前崎総合病院は、立地や規模から、回復期や慢性期が中心になるとみられる。

 地域医療構想は、限られた医療資源を効率的に使い、膨らむ医療費を抑制するのが大きな狙いで、趣旨は理解できる。一方、医療機関に乏しい地方や過疎地では特に、あらゆる病気や症状に対応してくれる公立病院は、地域住民にとって頼もしい存在。構想に基づく改革が行われても、こうしたよりどころとしての機能がしっかり維持できるよう十分配慮してほしい。