「賢人論。」第13回(中編)竹中平蔵さんは「社会福祉法人は一部、既得権益の世界になっている。聖域になってしまっている現状を見直さなければならない」と語る

2016.09.20

 

「賢人論。」第13回(中編)竹中平蔵さんは「社会福祉法人は一部、既得権益の世界になっている。聖域になってしまっている現状を見直さなければならない」と語る
竹中平蔵 9月13日


争なんてとんでもないという人もいますが、自分で自分の道を塞いでいると思います

竹中 日本の社会福祉に決定的に不足しているのは、健全な競争ですね。堀江貴文さんが以前の『賢人論。』の「高齢になっても自分で立って、動いて、働く。そういう人が増えていく世の中になって欲しい」の中で話していた「給料が低くて嫌なら辞めればいい」という話。

まったくその通りだと思います。「介護は社会福祉で、競争なんてとんでもない」みたいなことを言う人もいますが、それは自分たちで自分たちの道を塞いでいるんですよ。

特養に数兆円のお金が貯まっているのをご存知でしょう?特養というのは特権階級なんですよ。そこが競争を阻害している。そういう制度そのものを見直していかないといけないですね。というのは、社会福祉法人は一部、既得権益の世界になっているから。その中で、安い労働に甘んじざるを得ない人たちが犠牲になっているというのは事実でしょう。そこはもっと健全にすべきだと思います。

みんなの介護 社会福祉法人そのもののあり方を見直さなければならないという状況になっているのでしょうか。

竹中 その通りだと思います。教育とか医療とか、介護とか…聖域になっちゃっているんですよね。こういう事をいうと、競争原理主義とか資本原理主義だとか言われちゃうんですけど。もちろん全部マーケットに任せて良いわけはなくて、ちゃんと国が管理しないといけない部分もあります。でも、国が全部を管理しないといけないのではないんです。

みんなの介護 0が100かじゃないんですね。

竹中 そうですね、部分的に競争のメカニズムを入れていくという考え方です。そういう意味で新しい動きが日本で起きているんですよ。コンセッションという言葉を聞いたことがありますか?社会保障とはまだあまり結びつかない分野なんですけど。

ロンドンのヒースロー空港を運営しているのは、民間の株式会社なんです。ターミナルビルだけでなく、滑走路も、管制塔も含めて。オーストラリアの空港も大体そうなっているんですが、実は日本も今年から仙台空港がそうなります。所有権は国が持っていて、運営する権利を民間に売ったんです。そして、次が関西国際空港。

オーストラリアの例ですけど、ローカルな空港で民間企業が必死になって運営して、世界中のエアラインと交渉して、発着する飛行機が3倍になりました。そこにビジネスパークを作って、キャッシュ・フローが2倍になったという事例があります。この他にも、空港のすぐ隣に大学を誘致した例もあったり、空港は地域開発の拠点になり得るんです。民間が運営すると、国や公務員が運営するのは違う知恵が出てきたりする。もちろん儲からないからやめたなんてことになったら困るので、そういう意味では国がしっかり管理する必要はありますね。

みんなの介護 なるほど。介護の分野でも、国が管轄しているところにうまく民間が入っていくことができたら、状況が良くなっていくのかもしれませんね。