国立循環器病研究センター 落札率100%、5年で137件

2016.08.30

国立循環器病研究センター 落札率100%、5年で137件
2016.08.23産経新聞


 ■談合? 識者「運用見直しを」

 国立研究開発法人「国立循環器病研究センター」(国循、大阪府吹田市)で平成27年度までの5年間に物品調達や工事で行われた競争入札のうち、非公表の予定価格と同一額で落札された落札率100%のケースが計137件に上ることが22日、産経新聞の取材で分かった。落札率95%以上の入札については、市民オンブズマンなどが「談合の疑いが極めて強い」と指摘。識者からは「専門性の高い医療分野では競争環境の確保が難しい事情があるにせよ、運用の見直しは必要」との声が上がる。

 落札率は、入札の上限となる予定価格に対する落札額の比率。落札率が高いほど、業者にとっては利益が大きいことになる。

 国循は個別の予定価格を入札後も公表せず、落札率も明らかにしていないが、関係者によると、心疾患治療用の医療器具開発会社との業務委託契約などで落札率が100%となった。ナースコールの保守業務でも100%の事例があった。

 国循は取材に対し「他の病院での納入事例や複数の業者からの見積書を参考にしたうえで、予定価格を設定している」と説明。ただ、見積書で提示された最低額をそのまま予定価格にするケースもあり、その際に見積書を提出した業者が100%で落札することがあり得る、とした。そのうえで「落札後も交渉を行い、価格を下げる努力をしている」と強調した。

 だが過去の入札では、発注の前提となる仕様書案を業者に作成させていたことも判明。他社の応札状況を特定業者に漏らしたとして職員が逮捕される事件も起きている。

 国循のほかにも、厚生労働省が所管する医療関係の複数の独立行政法人で落札率100%となる入札が年間十数件~数十件に上ることも判明しており、予定価格の設定方法を改善すべきだとの指摘も出ている。

 不正入札に詳しい法政大大学院の武藤博己教授(行政学)は「調達内容の特殊性を考慮しても、落札率100%の入札が相次げばメーカー側との癒着を疑われかねない。入札方式や価格交渉の状況が適正かどうかのチェックのためにも、入札状況の公表を進めるべきではないか」としている。

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【用語解説】国立循環器病研究センター

 心臓病や脳卒中など循環器系の疾患を治療する、研究所を備えた医療機関。昭和52年、大阪府吹田市に国立施設として開設され、平成22年4月に独立行政法人に移行した。昨年4月からは研究開発を主な事業とする国立研究開発法人となっている。心臓の移植手術件数は昨年末現在で国内最多を誇り、循環器系医療で指導的役割を果たしている。