大月市立病院リニューアル1年 医師不足続く赤字経営 ケア棟設け改善図る

2016.08.27

◇ワイド ◇フォローアップ 大月市立病院リニューアル1年 医師不足続く赤字経営 ケア棟設け改善図る
2016.06.24 山梨日日新聞 

 大月市立中央病院は、老朽化に伴う新病棟の建設と耐震化が完了して1年がたった。市はリニューアルの効果で収益の改善を期待したが、2015年度の決算は2億円を超える赤字の見通し。赤字は13年連続で、市は本年度の一般財源から4億円を補填した。収益が好転しない背景には、医師不足で外来や入院患者の受け入れを制限していることがある。医師16人の配置目標に対し、9人にとどまっていて、医師確保が急務となっている。〈野口健介〉


 病院の1階にある外来診療。患者数が多い整形外科だが、週の半分以上は診察が行えない状況で、入り口のボードには「休診」の文字が表示されている。医師派遣の協定を結ぶ東京女子医大から来ていた常勤医1人の派遣が15年度で解除となり、現在は非常勤医が週数回の外来に対応している。


◎市が補助金

 同病院によると、医業収益は新病棟整備前の11年度は20億6311万円だったが、15年度は20億円を下回る見通し。患者数は外来と入院を合わせて12万771人だった11年度に対し、15年度は10万6531人にとどまった。会計制度の見直しに伴い義務付けられた退職金の積み立てで、1億1452万円を計上したことも影響し、15年度の経常赤字は2億円を大幅に超える見通しだ。

 医業収益の伸び悩みには、医師不足が大きく影響している。過去10年間でみると、整形外科の常勤医が在籍した10、11年度の収益は20億円を上回ったが、これ以外は約15億8千万~18億7千万円で推移。新病棟の建設に伴い、12~14年度決算では経常赤字が計約8億7千万円と膨らみ、市は13年度に4億1千万円、14年度に5億円、15年度に4億円の補助金を支出している。

 課題となる常勤医数は05年度から10年間で、14年度の11人が最多。市が経営再建の方針をまとめた「改革プラン2013」では、16年度に16人を目標としていたが、本年度は内科、外科、眼科の計9人体制となっている。同病院は東京女子医大や山梨大に医師派遣の要請を続けているが、「現状で増員の見通しは立っていない」(同病院関係者)。


◎財政に影響

 医師確保が進まない状況について、同病院担当者は「都市部に住む医師が地方に生活基盤を移すことの難しさや指導医が少ないことが影響している」と分析。同病院長を務めた江口英雄上野原市長は「地方の病院で一定期間経験を積むような制度に変えなければ、医師不足の解消はない」と、医師確保の難しさを指摘する。慢性的な赤字経営には、「市の財政や病院の経営が立ちゆかなくなる」(大月市議の一人)と危惧する声も出ている。

 同病院は回復期の入院患者の受け入れで収益向上を図ろうと、入院しながら在宅復帰に向けた支援が受けられる「地域包括ケア病棟」の設置を決めた。現在は病院全体で200床あるが、医師不足などで128床(64%)の稼働にとどまっている。現在使用している病床の一部を地域包括ケア病棟に充てる予定で、9月の利用開始を目指している。

 市内の60代の無職男性は「市民が利用したいと思える病院を目指すことが第一。黒字化に向けて経営改善を進めてほしい」と話した。


新病棟の整備が完了した大月市立中央病院。常勤医の確保など経営改善に向けた課題は多い=大月市大月町花咲


大月市立中央病院過去10年間の収支の推移

(単位は万円),,,,,

,医業収益,医業費用,赤字補填,経常赤字,

2005年度,177,202,258,527,9,646,35,346,

2006年度,179,738,235,838,32,539,8,757,

2007年度,171,741,227,217,30,000,10,362,

2008年度,158,460,208,823,30,000,9,406,

2009年度,182,430,229,287,20,000,13,641,

2010年度,208,183,242,385,20,000,2,747,

2011年度,206,311,247,130,20,000,5,293,

2012年度,177,992,241,989,35,800,10,483,

2013年度,172,250,250,755,41,000,20,177,

2014年度,187,092,290,214,50,000,56,655,

合計,1,821,399,2,432,165,288,985,172,867,

山梨日日新聞社