うおぬま・米ねっと 地域で医療情報を共有化 /新潟県

2016.08.08

(地域包括ケア@新潟:39)うおぬま・米ねっと 地域で医療情報を共有化 /新潟県
2016.08.06 朝日新聞



 魚沼医療圏(魚沼市、南魚沼市、十日町市、湯沢町、津南町)で、病院、診療所、薬局、消防本部の間で医療情報を共有化する魚沼地域医療連携ネットワークの構築が進んでいる。愛称は「うおぬま・米(まい)ねっと」。ネットワークに登録することで、医療機関での受診や救急搬送時の対応がスムーズになるとともに、検査や投薬の重複を防ぐ効果が期待される。


 「米ねっとのことをご存じですか」

 「いつも使っている医療機関はどこですか」

 1日から魚沼基幹病院の受付近くに設けられた特設ブース。NPO魚沼地域医療連携ネットワーク協議会(米ねっと事務局)のメンバーが、訪れた人々らに米ねっとの説明をしながら、加入を勧誘していた。

 米ねっとへの登録は無料。加入をすると「米ねっとカード」が送付されてくる。その後は、各医療機関を初めて受診する際にカードを提示すれば、自動的に情報が共有される。

 県と同事務局では、米ねっとの登録者数を増やそうと、魚沼医療圏の全約6万2千戸に対し、加入を勧める自治体報への折り込みチラシを配布。魚沼基幹病院は9月末まで、その後は県立十日町病院などでブースを設けて加入促進のキャンペーンをする予定だ。

 同医療圏の人口約17万人に対して、現在の加入者は約1万3千人。同事務局では、まずは、あと1万人の加入者増を目指す。


 ■専用回線を利用

 米ねっとの取り組みが始まったのは、2014年4月。翌年6月の魚沼基幹病院の開院を控え、地域での医療機関の再編が進められていた。医師不足や看護師不足が深刻な地域だ。高度な医療は中核病院、慢性疾患など日常的な医療は地域の病院や診療所で診てもらうというように、役割分担をしていかなければ成り立たない。

 その際、医療機関や薬局との間の医療情報のやり取りが必要となる。同じ患者が診療所と病院で同じ検査をするのは非効率で、患者にとっても負担になる。検査結果を共有化すれば、検査の重複をなくすことができ、医療機関同士での患者の紹介もスムーズにできる。

 だが、医療情報はプライバシーの問題があり、共有化することに不安を感じる人も少なくない。

 このため、米ねっとでは、一般のインターネットとは別の専用回線を用いてネットワークをつくっている。約80の医療機関が参加しているが、医療機関はそれぞれが全てつながるのではなく、患者ごとに与えられたID番号を用い、同事務局を介して「ひもづけ」されていく形だ。また、患者は登録時に、医療情報を共有したくない医療機関との共有に対して「不同意」を示すことも可能だ。


 ■消防本部と連携

 米ねっとのもう一つの特徴は、地域の消防本部との連携だ。この地域では、救急車にタブレット端末が用いられている。米ねっとに登録しておけば、救急搬送時、アレルギーの有無、心臓病や高血圧、糖尿病といった持病、日頃から服薬している薬を、すぐにチェックすることができる。緊急時により安全、安心な治療を速やかに始めることが可能になる。

 米ねっとは、同医療圏の住民でなくても加入は可能だ。羽吹正・同事務局長は「時々、里帰りしてくる人や、そのお子さんも登録しておくと、緊急時に役立つと思います」と話す。

 県内では、佐渡島内で、NPO佐渡地域医療連携推進協議会が「あなたの健康を、佐渡全体で支えます」とのキャッチフレーズで、医療連携ネットワーク「さどひまわりネット」を先駆的に運営する。医療機関だけでなく介護・福祉士施設を含めて情報を双方向に利用できるのが特徴だ。医療機関、介護・福祉施設など約75施設が参加し、約1万5千人の住民が登録する。

 県基幹病院整備室の星丈志室長は、米ねっとによる介護・福祉施設との連携は、まだ先のことになるとする。一方、今後、米ねっとを使う医師向けの講習会などを実施し、情報共有化の利点をより充実していく方針だ。「ネットワーク化で、地域の医療機関が一つの病院のようになるようにしていきたい」(松浦祐子)