新専門医制度、1年延期 「医師不足加速」地方に懸念

2016.07.22

新専門医制度、1年延期 「医師不足加速」地方に懸念
2016.07.21 朝日新聞



 内科や外科、小児科などの専門医の質を上げるため、第三者機関が統一的な基準で認定する「新専門医制度」について、第三者機関の日本専門医機構は20日、理事会を開き、制度の開始予定を2018年4月に1年延期することを決めた。指導・研修のために医師が都市部の大病院に集中し、地方の医師不足が加速するおそれがあるとして、日本医師会などが導入延期を求めていた。


 新専門医制度は、国家試験に合格し2年間の初期臨床研修を終えた医師が、外科や内科、小児科など19種類の基本領域のいずれか一つで原則3年間の研修を医療機関で受けて、専門医の認定を受ける。希望者はさらに、循環器や血液、腎臓といったより専門性の高い領域の専門医に進む。複数の病気を抱えるお年寄りらに幅広く対応できる総合診療科も基本領域に新設される=図。

 これまでは各学会が経験年数や手術件数などで専門医を独自に認定していたが、基準にばらつきがあり、質が必ずしも保証されていなかった。

 このため、厚生労働省の検討会が13年春に報告書をまとめ、中立的な第三者機関が統一的な基準で認定する新制度が創設された。来春から養成が始まり、20年度に新制度による専門医が誕生する予定だった。

 ところが研修プログラムの指針など制度設計の概要が明らかになるにつれ、地方の中小病院や自治体などから不安の声が寄せられた。養成の中心となる大学病院などの大病院に研修を受ける医師が集中するだけでなく、大病院が指導医を増やすために地方から医師を引きあげるおそれがあるからだ。

 日本専門医機構は今後、都市部の大病院で専門医の研修を受ける医師らが集中しすぎないように、施設ごとの定数を学会と調整するなどの対策を検討する。

 吉村博邦理事長は理事会後の会見で「拙速では地域医療が混乱する。国民に対し、専門医の質の担保、地域への配慮を行い、適切な医療を提供できるような新体制をつくっていきたい」と話した。(寺崎省子、竹野内崇宏)