2016参院選やまぐち 進む医師不足「常に限界」 岩国の医師会病院 6診療科常勤ゼロ 呼吸器内科は閉鎖 運営形態含め模索続く

2016.06.20

2016参院選やまぐち 進む医師不足「常に限界」 岩国の医師会病院 6診療科常勤ゼロ 呼吸器内科は閉鎖 運営形態含め模索続く
2016.06.17 中国新聞



進む医師不足「常に限界」

岩国の医師会病院 6診療科常勤ゼロ 呼吸器内科は閉鎖

運営形態含め模索続く

 「このまま医師不足が進めば、病院を維持できない」。岩国市医療センター医師会病院(同市室の木町)を運営する市医師会の小林元壮会長(63)は、危機感を募らせる。

 同病院は現在、19診療科のうち6科(消化器内科、脳神経内科、同外科、泌尿器科、放射線診療科、歯科)が非常勤医師だけで対応している。常勤医師の退職が続きながら後任が見つからないなどの理由で、呼吸器内科は非常勤医師も確保できず昨年4月に閉じた。

 土曜夜から月曜朝にかけて救急対応する医師も足りていない。山口大付属病院(宇部市)からの派遣医4人が担っていたが、数年前から一部を医師会会員が受け持つ。同大も人員不足のためだ。

会員は平均61歳

 国は2004年に新たな医師臨床研修制度を導入。新人医師は研修先を自由に選べるようになったが、人手の減った大学病院が派遣先から医師を引き揚げ、地方の医師不足は進んだとされる。その後の制度見直しでも改善は見られない。同大医学部は「(研修医を育てる)医療人育成センターなどで人材確保を図っているが、(各地の病院へ)医師を提供する余裕がない」(総務課)と明かす。

 岩国市医師会会員の平均年齢は61歳。会員数はこの10年間で30人減り142人。このうち約40人(35機関)が医師会病院で救急対応の当番に入る。平日夜(午後7~11時)のシフトもあり、同病院の正木康史センター長(64)は「ここ数年、常に限界状態で回している」とため息をつく。

 県医師確保対策班によると、県内の45歳未満の医師数は1198人(14年12月時点)。1998年と比べて376人も減り、若手の人材不足は全県的な課題となっている。

救急断る例増加

 医師数だけでなく、専門医の不在も現場に影を落とす。岩国の医師会病院では、救急搬送の受け入れを断るケースが増加。岩国地区消防組合によると、2015年の医師会病院への救急搬送数は1003人と、14年比で152人減った。一方、国立病院機構岩国医療センター(同市愛宕町)は14年比139人増の3619人。同センターは市内唯一の3次救急医療機関として重篤な患者に対応するが、比較的軽症の患者の受け入れも求められ負担は増している。

 医師会病院の役割について小林会長は「救急の分担体制維持のためにも、救急機能は維持していかなければならない」と強調。「そのためには公設民営化が必要。全国で病院経営の経験を持つ地域医療振興協会(東京)に指定管理者として入ってもらえば、医師確保の可能性も広がる」との持論を展開する。

 一方で、市地域医療課は「公設だけが選択肢ではなく、医師確保に向けてやれることはまだあるはずだ」とする。来年度は市内の病院を対象に、研修医の受け入れや指導医の養成費用などを助成する新事業を計画する。

 同課は「指導する側の医師が増えれば、研修医の受け入れも増やせる。そうすれば研修医が定着する可能性も出てくるのではないか」。医療を支える現場の模索は続く。(大村隆)