最新 医学部&医者 偏差値では分からない! 全国81医学部 序列マップ

2016.06.13

 

特集 最新 医学部&医者 偏差値では分からない! 全国81医学部 序列マップ (3/4)
2016.06.18 週刊ダイヤモン 




Part 3 すべり止めなしの超難関 医学部「合格」への道


上位校のみならず、おしなべて難関ぞろいの医学部合格を勝ち取るのは、至難の業だ。だが、その中でも知っておけば有利に働く道もある。


多浪に優しい医学部など押さえておきたい三つの項目


医学部受験に当たって、志望校選びに欠かせないことは何なのか。これまで見てきた序列や偏差値だけではなく、押さえておきたい項目が幾つかある。


 医学部受験生が、志望校選びで気にすべき項目の上位に位置するのは、「学費」「浪人比率」「地域枠」だ。

 まず現実問題として、気になるのが学費だろう。何しろ、私立大学医学部の学費は6年間で平均3000万円と、国公立大学医学部の実に10倍近くにもなるからだ。

 もっとも、下表にあるように、私立大医学部の偏差値と学費は、基本的に逆相関の関係にある。

 おおよそ私立旧制医科大の私立医学部御三家といわれる大学と、ブランド力が高い大学ほど学費は安く、新設大・医学部といわれる比較的歴史の浅い偏差値が下位の大学になればなるほど、学費が高くなる傾向にある。

 加えて、私立大医学部は学費を下げれば偏差値が上がる、というのも特徴の一つだ。

 例えば、2008年度に順天堂大学が6年間の学費を2970万円から2080万円へと890万円も減額した。それを手始めに、12年度には東海大学、13年度は関西医科大学と昭和大学、東邦大学の3大学、14年には日本医科大学と帝京大学が立て続けに学費を値下げし、あたかも“値下げ合戦”の様相を呈した。

 その結果、学費を下げた大学の偏差値は急上昇した。とりわけ、順天堂大は今や「慶應義塾大学、東京慈恵会医科大学に続く難易度と人気となった。昭和大も私立医学部御三家とは偏差値、人気で拮抗している」(医学部専門予備校)という状況だ。

 国公立大と違って私立大医学部の受験者は浪人生が多く、どこでもいいから合格したいという層が多い。そのため学費が安い大学に殺到し、志願者数が大幅に増える。それ故に、偏差値が上昇するという仕組みとなっている。


多浪生に優しい川崎医科大


 次に、私立大医学部の現役・浪人比率を見てみよう。左図をご覧いただきたい。ここでも偏差値と現役・浪人比率に相関関係があることが見て取れる。

 例えば、偏差値トップクラスの慶應大の現役比率は58・2%と高く、偏差値が下位の川崎医科大学の現役比率は7・3%でしかない。つまり、川崎医科大は浪人生に優しく、慶應大は浪人生に厳しい大学だと言い換えることができる。

 「川崎医科大は、かつては現役しか合格させない時期もあったが、ここ数年は浪人生を数多く合格させるようになった」(長澤潔志・TMPS医学館代表)という。

 最後に、地域枠を確認しておこう。地域枠とは、地方の医師不足を解消するために医学部を卒業した後、大学がある地方の病院で9年間ほど勤務するという“縛り”がある制度のことだ。

 1997年度に、札幌医科大学と兵庫医科大学で初めて導入されて以来、多くの医学部で取り入れられている。

 縛りの見返りとして、学費の貸与制度や補助制度が設けられていたり、推薦入試やAO入試で入学できたり、地元の高校生が優先されたりするなど、「一般入試よりも入りやすい」(大手予備校)。まさに、医学部受験生にとっては“狙い目”の制度だが、まだ浸透しているとは言い難い。

 しかも今年5月に厚生労働省は、将来の医師の過剰を恐れて医学部の現在の定員(9262人)について、20年度以降に削減することを検討し始めた。医学部がより狭き門となる可能性が高く、地方の病院勤務を厭わなければ、地域枠での受験を検討した方がいいだろう。


中国・北京にハンガリー 海外大経由で医師を目指す


日本の大学を経由せず、中国やハンガリーの大学の医学部へ留学し、日本の医師になる道を選ぶ学生が徐々に増えている。志望状況や費用などを探ってみた。


 「国際的なコミュニケーション能力を身に付けることで他の医師との差別化を図りたい」。中国・北京大学医学部への留学を手掛けるISI国際学院海外大学進学予備校に通う男子生徒はこう語る。

 同予備校では、2002年から北京大学医学部留学のための進学コースを手掛けてきた。医学部進学コースでは中国語を勉強し、数学、物理、化学を中国語で学ぶ。

 同予備校で医学部進学コースを修了すると北京大学医学部へ入学できる。現地での留学生の生活サポートを始めた12年に、4人の留学生を送り出して以降、志望者が増え始め、今年9月には22人、来年9月には36人が本科へと入学する予定だ。

 医学部進学コースの費用は160万円で、北京大学医学部への6年間の留学中に掛かる費用は生活費などを含めて合計約1700万円。これだけでも日本の通常の私立大学医学部の学費よりも安い。

 加えて、所得制限がなく、受給後に進路などに関する縛りのない中国政府の奨学金の審査にパスすれば、約1000万円の給付を受けることができる。

 特筆すべきは、書類審査と面接と小論文で入学者を選抜すること。「医師になりたい人材を医師にする」(同予備校)との考えからで、学力テストの偏差値にはこだわらない。


2年前からチェコでも開始


 開始したのは06年と北京大学より遅いが、今年9月の入学予定者78人を含めた累計が539人に達しているのが、ハンガリーの国立大学医学部への留学生だ。

 日本での出先機関であるハンガリー国立大学事務局は、英語、理科(生物、物理、化学から2科目選択)と面接と書類審査で留学生を選抜。留学先は、デブレツェン大学など四つの国立大学。無論、現地での授業は英語で行われる。

 予備コースの審査に合格した生徒は、現地での予備コース半年または1年と本科コース6年の6年半~7年間勉強する。本科コースの1次審査に合格した生徒は、大学ごとの2次審査に合格すれば本科コースに入学する。入学者は現役生から2浪生までが中心だ。

 予備コースからの7年間の授業料、生活費を含めた総費用は1700万~2000万円。14年から始まったハンガリー政府の給付型奨学金を受給すれば、本科コースの授業料と生活費と住居費の補助が受けられるため、純受給額は1200万円前後になる。

 志望者が増えたため、別組織で2年前からチェコの国立大学医学部への留学生事業も手掛け始めた。今年は30人が留学する。総費用は1600万円とハンガリーよりやや安い。今後もチェコの大学への入学枠を拡大していく考えだ。


Column 医学部受験の過熱で蔓延 驚愕の裏口入学の仕組み


何としても子どもを医者にしたい親が、最後の手段として手を出すのが裏口入学だ。同窓会や2次試験を“悪用”した、その巧妙化した手口を関係者の取材を基に解き明かす。


 「今の私立大医学部は難しくなり過ぎだ。学費の値下げによって、一般家庭でも手が届きやすい金額になったが、優秀な子なら浪人してでも頑張れば必ず合格できるというものではなくなった」(都内予備校関係者)

 医学部受験が過熱する裏で、苦境に立たされているのが、親の後を継ぐことを考えている医者の子どもだ。

 現在、医学部専門予備校に1年通わせて家庭教師も付けた場合、その費用は優に1000万円を超えるが、何とかして子どもに後を継がせたい親は、医学部に合格させるために出資を惜しまない。だが、それでもなお合格ラインに届かなかった場合にどうするのか。そこでゆがんだかたちとなって現れるのが、「裏口入学」という選択だ。

 「裏口で入学した学生は名門といわれている大学のみならず、私立ならどこにでもいる」と語るのは、名だたるブランド力を誇る私立大医学部教授だ。過去、都内の有名私立大医学部で数億円の裏口入学の実態が大々的に報道されたが、「その大学は現在、1次試験だけになって裏口入学はなくなったが、いまだに私立大医学部の裏口入学の実態はひどいものだ」とは都内予備校経営者の談。


同窓会経由でばらまく


 では、裏口入学の実態はどのようになっているのか。「裏口入学には大学同窓会の理事などが絡んでいる」と同経営者は語る。下図をご覧いただきたい。

 私立大医学部の入試は2回に分けて行われる。1次は学力試験、2次は面接や小論文だ。1次試験では、合格者は正規合格と補欠合格に分けられるが、受験生は通常、5、6校併願しているのが当たり前なので、1次の正規合格者のうち、上位大学に合格した者は抜けてしまう。そのごっそり抜けた穴を補欠合格者の中から繰り上げ合格させて埋めることになる。

 通常は補欠合格者全員に対して2次試験を行い、点数に基づいて合格者を決めるが、裏口入学ではこの2次試験を操作する。

 そこで暗躍するのが同窓会だ。同窓会の理事長などを経由して、“寄付金”という名の裏金がばらまかれるのだ。その額は、「2000万~5000万円が相場。AO入試や推薦などでは5000万~1億円にもなる」と、ある関係者は声を潜める。

 今は昔と違い、1次試験突破が最低条件なので「裏口入学といってもある程度学力が必要」(同関係者)だ。とはいえ、裏口入学者の数だけ、本来の合格者が押し出され、不合格になってしまう。

 いかに狭き門とはいえ、こういった不正は許されるものではない。


国公立は大手、私立なら医専 医学部予備校の最新事情


難関の医学部受験をする上で欠かせないのが、予備校の存在だ。医学部コースを備えた大手予備校か、それとも医学部に特化した専門予備校か、最新の予備校事情をひもといていこう。


 知る人ぞ知る医学部受験の“聖地”といえば、JR市ケ谷駅だ。なぜなら、医学部受験に特化した駿台予備学校市谷校舎と、河合塾麹町校の両校舎が、皇居の外堀を挟んでそびえているからだ。

 両校舎共に、全国から医学部受験を目指す精鋭たちが集い、日々切磋琢磨しながら受験勉強にいそしんでいる。その合格実績は、「両校舎共におよそ800人前後で拮抗しているが、数十人程度駿台の方が多いはずだ」(予備校業界関係者)という。

 歴史でいえば、30年以上にわたり同地で医学部受験を指導している駿台に軍配が上がる。校舎入り口の門は重厚そのもので、いかにも歴史を感じさせる佇まいだ。

 その駿台の医学部コースは主として、東京大理科3類をはじめとした旧帝国大や東京医科歯科大、千葉大などといった超難関校向けが中心だ。

 駿台ならではの受験情報の多さに加え、25年以上続けている受験生の悩み相談「生活カウンセリング」などにも特徴がある。ちなみに、駿台予備学校市谷校舎長の竹内昇氏は「医者の2人に1人が駿台生」だと言う。

 対する河合塾の校舎は、約10年前に建てられたものでエントランスの石畳には分子構造がデザインされるなど、校舎全体が医学部を意識して造られている。また、3階には予備校には珍しい化学実験室を完備し、国公立大の2次試験に出題される高度な実験問題にも対応している(左ページ下写真)。

 「駿台さんの市谷校舎がある地に校舎を構えられることはわれわれも名誉なこと」と横井徹・河合塾麹町校校舎長は意気込む。

 河合塾のトップ生が受講するトップ医進選抜コースのうち、上位5コース全てがこの麹町校にある。駿台の市谷校舎同様、超難関大向けだ。注目すべきは、麹町校のクラス規模。1クラス30~40人で構成され、大手予備校にしてはかなり少人数に絞っているため学びやすい環境といえる。

 実際、麹町校の医学部コースは人気で、「全国からトップ層がここに集結する。募集もすぐに定員オーバーで打ち切る状況だ」と横井氏は胸を張る。「新校舎を建てるとのうわさがある」(前出の関係者)というのも、あながちうそとは言い切れまい。

 二昔前は「生徒の駿台」「机の河合」「講師の代ゼミ」といわれたものだが、いまやその設備は圧巻となり、河合塾の人気は受験生の間ではかなり高まっている。

 加えて、この地に校舎はないものの、大手予備校の一角を占める代々木ゼミナールは、昨年から新設した「オリカリ」コースを武器に両巨頭に対抗する構えだ。

 オリカリとは、オリジナルカリキュラムの略称で、科目ごとの学力レベルに合わせたコースを組み合わせたり、講師を選んだりできるコースのことだ。無論、相談員との面接を行った上で、コースを設定することは言うまでもない。


70万円前後の大手と平均450万円の医専 費用の差は大きい


 もっとも、これら大手予備校は国公立大医学部向けがメーンであり、私立大医学部を考えている層には、医学部専門予備校(以下、医専)といった選択肢が中心となるだろう。両者の違いを比較したものが、右ページ下の表だ。

 まず入学要件が大きく異なる。大手では通常、医学部コースに入学するための選抜試験があるが、医専の場合は個別指導が多いため一部のコースを除き、選抜試験がないところが多い。

 ちなみに、駿台の「スーパー国公立大医系αコース」に入りたいならば、駿台・ベネッセマーク模試で、5教科偏差値60以上と、ハードルはかなり高い。

 次に、授業については、大手は50人規模のクラスが一般的で、医専は15人以内の少人数といったかたちだ。そのぶん医専は、入った後も学習の進捗に合わせて個別にカリキュラムを調整してくれるなど、手厚いサポートがある。

 もっとも、「講師の質にバラつきが大きいのは医専の方だ」と、都内で医専を経営する代表は話す。そのため医専を選ぶ際には、実際に講義を受けさせてもらうことが重要だ。その際の注意点は、講師がテキストを読むだけではなく、その講師なりの教え方ができているかどうかを確認することだ。

 次に、気になる費用だが、大手予備校の一般的なコースで年間約70万円となっている。ただし大手でも個別指導などのオプションを付加すれば、200万~300万円以上に膨れ上がることになる。

 対する医専は、平均450万円と大手に比べてはるかに高額だ。というのも先述した通り、医専の方が少人数クラスで手厚いサポート体制のため、人件費が高くなるというのがその理由だ。そのため、「一般的に300万円から520万円が妥当なライン」(前出の医専代表)だという。

 しかし中には、1000万円以上になるケースもあり、医専によって大きく幅がある。公表されている学費に加え、合宿費や短期講習費などが上乗せされるからだ。苦手科目克服のためとはいえ、単価の高い個別指導コースを勧められるなどして、金額が数倍に膨れ上がることも珍しくない。

 これらの理由から、大手と医専では生徒の層にはかなりの違いがある。大手は金額の安さから公立高校の現役生が多いが、医専は比較的裕福な家庭の私立中高一貫校出身の浪人生が中心だ。

 国公立大医学部ならば学費は6年間で約350万円と安いが、私立大ともなれば最低でも2000万円は掛かる。高額になりがちな予備校の費用もしっかりと押さえて、予備校選びを行ってほしい。


医専は1000万円以上もザラ 大手予備校と医学部専門予備校徹底比較