点検ふくい 県陽子線がんセンター 利用3割減 

2016.05.13

◎点検ふくい 県陽子線がんセンター 利用3割減 初の前年割れ 全国施設増え競争激化 北陸の患者受け入れ注力
2016.05.12 福井新聞
点検ふくい


県陽子線がんセンター 利用3割減 初の前年割れ


全国施設増え競争激化


北陸の患者受け入れ注力


 県立病院陽子線がん治療センター(福井市)の2015年度の利用者数は128人で、過去最高だった14年度と比べて3割超減り、開所以来初めて前年割れした。全国に陽子線を含む粒子線治療施設が増えた上、従来のエックス線治療も高度化し、競争が激化したのが理由。県や同センターは、北陸3県の患者の掘り起こしと、4月から保険適用された小児がん治療の受け入れに力を入れる。(青木伸方)


 同センターは11年3月に開所し、11年度の利用者数は115人。12年度は152人、13年度186人、14年度187人と右肩上がりで伸びていた。これまでの利用者数774人を居住地別でみると、県内は嶺北が43%の337人、嶺南6%の45人。半数は県外からの治療患者で、石川県が11%の83人、富山は7%の56人。関西地方から19%、東海地方からも9%の利用がある。

 利用者数の伸び悩みの要因は、競合する施設の増加だ。13年に名古屋市、14年には長野県松本市の民間病院が相次いで陽子線治療センターを開業した。また、陽子線治療は公的医療保険が適用されず高額な治療費が課題となる中、「(保険が適用される)エックス線治療は技術革新で高度な治療が進んでいる」(県地域医療課)ことも理由にあるという。

 県は本年度の利用者数200人を目標に掲げ、特に北陸をターゲットに定めて石川、富山両県の利用者を増やしたい考え。JR金沢駅や富山駅で同センターをPRするポスターの掲示などをする。

 西川知事は昨年11月、谷本正憲・石川県知事との懇談で「これ以上(陽子線治療施設を)あちこちにつくっても共倒れになる問題がある」と述べ、石川県内の患者へのPRを要請。谷本知事も「石川では施設をつくる予定はなく、患者のがん治療の選択肢を増やすためにも協力したい」と快諾した。

 また、4月から小児がんの陽子線治療に公的医療保険が適用されたため、小児患者の受け入れ体制を強化。保険適用で治療費が負担軽減されることもアピールする。

 玉村裕保センター長は「小児科病棟や福井大医学部附属病院と連携し、治療後の経過観察も含め専門チームで対応する。これだけの体制が整うのは全国でもあまりない」と治療体制の手厚さを強調する。

 同センターの採算ラインとなる年間利用者数は400人。到達するのは容易ではないが、玉村センター長は「北陸の患者を中心にしっかりと治療できる体制をつくっていく。ほかの施設と比べ精度の高い陽子線治療を行っており、先駆的な技術を持ったセンターとして発展させていきたい」と話している。



福井新聞
5月13日 05:26
 
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