長崎市民病院 また計画変更か

2016.05.09

長崎市民病院 また計画変更か/一般病床をケア病棟に/原爆病院との統合問題 発端

 

 長崎市立病院機構が運営する長崎みなとメディカルセンター市民病院(513床)が、7月の全面開業時に稼働を始める100床のうち約50床について、当初計画の急性期一般病床から「地域包括ケア病棟」への転換を検討していることが30日、分かった。同病院は2015年度までのER型救命救急センターの整備を断念したばかりで、相次ぐ計画変更に医療関係者から疑問の声が上がっている。

 

 市民病院は高度急性期医療を目指すとしていたが、地域包括ケア病棟は急性期から治療を継続、在宅・介護施設への復帰を目指す回復期などの患者が対象。今春の診療報酬改定では、500床以上の病院に地域包括ケア病棟1棟(約50床)の設置を認めた。長崎市内の民間病院の関係者は「市民病院が民間でも可能な分野に手を伸ばせば、地域医療の役割分担が混乱しかねない」と懸念する。

 

 複数の医療関係者は、今回の事態を招いた発端には08~09年に県、市、長崎大学病院間で議論になった「市民病院と日赤長崎原爆病院の統合問題がある」と指摘する。

 

 当初、市は老朽化した414床の市民病院を450床の病院に建て替える計画だったが、県と長崎大学病院が、市民病院と360床の原爆病院を統合し、救命救急センターを備えた600床規模の高機能病院建設を要請。教育と研究を担う大学病院と、臨床に力を入れる高機能病院の両輪で、医療レベルを底上げする狙いだった。これに対し市は単独で500床以上に上積みし救命センターも設置するとして要請を拒否。しかし、市の計画は医師確保が困難との見方が強く、大学病院も救命センターを整備し、長崎・県南地域の3次救急医療を担うようになった。

 

 ある医療関係者は「大学病院が臨床に力を入れ始めたことで、市民病院が高度医療を目指す理由が薄れてしまった」と説明。別の医療関係者も「人口減少で急性期病床がいずれ過剰になるのは分かっていた。やむなく地域包括ケア病棟を選択したのだろう」と話す。

 

 また市民病院は13、14年度決算で急速に赤字が膨らんでおり、同病棟新設で収支改善につなげたい思惑があるとみられる。

 

 市民病院は「今は内部で協議している段階で詳しいことは話せない」としている。

 

(原口司)