<生老病死 寄り添う助産師>助産師外来・院内助産所 札幌圏、旭川に集中*管内は北見、網走の2カ所*需要増への対応が課題
2016.05.07 北海道新聞  


 先月初めに社会面で連載した「生老病死 寄り添う助産師」では、院内助産所や、産後の母親を支える「産後ケア」で存在感を増す助産師の姿を伝えた。道内で増えつつある助産師外来・院内助産所や産後ケアへの公的助成について紹介するとともに、北網地区助産師ネットワーク代表の松崎聡実さんに話を聞いた。

 助産師外来と院内助産所は、いずれも医療機関内のため、妊婦は「いざというとき、必要な医療が受けられる」との安心感がある。

 助産師外来では、出産まで14回ほどある妊婦健診のうち、助産師の担当回数は医療機関によって異なる。助産師が担当する場合、毎回30分から1時間ほどかけ、健康診査と保健指導をする。院内助産所は出産まで助産師が主体的に担う。日本看護協会によると、妊婦のお産への満足度が高まり、助産師の意欲向上にもつながるという。

 昨年4月時点で道内の助産師外来は29カ所、院内助産所は3カ所。増加傾向にあるが、いずれも札幌圏や旭川に集中している。オホーツク管内は、北見赤十字病院と網走厚生病院に助産師外来があるのみ。道は2010年度から助産師向けの研修を実施しており、道地域医療課は「助産師外来や院内助産所の開設増につながれば」と期待する。

 一方、産後の母親が体を休め、育児の悩み相談などもできる滞在型の「産後ケア」が注目されている。ただ、健康保険の適用外で、費用の相場は札幌で1泊3万円、東京では6万~8万円。料金の高さが利用をためらう一因となっている。

 このため産後ケアの助成事業を始める自治体が増えている。東京都世田谷区は08年に武蔵野大学に委託して産後入院専門施設「産後ケアセンター桜新町」を開設。区民の場合は利用料の9割を区が負担し、1泊2日6400円の自己負担で助産師の育児指導や臨床心理士のカウンセリングを受けながら休養することができる。ほぼ満室の状態が続いているという。

 厚労省は14年度から補助事業に位置づけ、15年度は全国80市町村で実施。道内では函館市が昨年10月から宿泊型の産後ケアへの補助を開始。苫小牧市は今年4月から、助産師が産後4カ月未満の母親を訪問する産後ケア事業を始めた。1回1200円で最大10回まで、相談に乗ったりアドバイスしたりする仕組みだ。

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 <オホーツク管内で助産師が母乳や育児の相談に応じる主な施設など> ※いずれも分娩の取り扱いは無し

 ●おぎた助産院 北見市緑ケ丘2の4の2 (電)0157・22・7239

 ●母乳育児相談室ゆりかご 北見市美山町南7の4の83 (電)0157・26・5313

 ●まつざき助産院 北見市田端町37の11 (電)080・1890・6285

 ●出張専門助産師 越後早苗 遠軽町2条通北3 (電)080・5589・3826

*北網地区助産師ネットワーク 松崎代表*母親の悩みに応えたい

--助産師外来の良いところは。

 「分娩(ぶんべん)は医師や看護師も含めたチームワークですが、その中で助産師は妊娠中から出産、産後まで母親の一番近くにいる存在。特に助産師外来では妊娠中の経過や不安について1対1でじっくり話せるので、お産の時、よりリラックスできると思います。スムーズなお産のためにはリラックスがとても大切。そしてお産がうまくいくと、その後も自信をもって充実した子育てができるんです」

--ネットワークはどんな活動をしているのですか。

 「結成は25年前。年に2回ほど勉強会や親睦会を開き、授乳、育児、性教育などいろいろなテーマで情報交換しています。所属する医療機関が違っても、地域の助産師同士が横のつながりをつくっておくことで、妊婦さんの転院の際などに状況を伝えやすいというメリットもあります」

--今年1月、出張でおっぱいマッサージやベビーマッサージをする「まつざき助産院」を開きました。

 「自分自身3人の子を産み授乳に苦労したので、お母さんたちの力になりたいと思いました。母乳が出なかったり、乳腺炎になってしまったり、痛みがあったりと、さまざまな悩みに応えたい。ベビーマッサージも、親子の心身の健康に効果があります。病院や看護学校で勤務した経験を生かして、いずれは自宅でより幅広い産後ケアができたら、と考えています」

--オホーツク管内は昨年10月から遠軽厚生病院で産婦人科の常勤医が不在になるなど、子どもを産む人にとって厳しい状況です。

 「産前産後の不安や相談を受け止めるという意味で、地域の助産師が果たせる役割は大きいと思います。出産はゴールではなく、子育ての始まり。核家族が増えて1人で抱え込むお母さんが多くなっていますが、ぜひ助産師や知人に頼る勇気を持ってほしいですね」(聞き手・権藤泉)
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