90人超を確保で「安定」 石川県内の臨床研修医 大都市圏に流出続く 奥能登では依然不足 医師数増にプラス

2016.04.21

〔視点〕 90人超を確保で「安定」 石川県内の臨床研修医 大都市圏に流出続く 奥能登では依然不足 医師数増にプラス
2016.04.19 北國新聞  


 今年度、大学の医学部を卒業するなどして県内の病院で採用された臨床研修医は96人で、2010年度以降7年連続で90人以上となったことが、県のまとめで分かった。出身大学に縛られることなく研修先を選べる新しい臨床研修制度が導入されてから12年、採用人数は導入直後に大きく落ち込んだが、「その後回復し、安定してきた」(県地域医療推進室)という。研修医の安定的な確保は、医師不足解消の決め手となるか。(坂内良明)


 臨床研修制度は、医学生の希望と、受け入れ病院による評価を、コンピューターで照らし合わせて研修先を決める。この「マッチング」を通じて、昨秋、県内14病院の定員162人に対して103人が内定した。今春働き始めたのはこのうち、卒業できなかったり医師国家試験(国試)に不合格となった学生を除いた若者たちだ。

●充足率32位

 マッチングによる石川の定員充足率は63・5%で、都道府県別で32位だった。1位は95・4%の京都で、以下、福岡、東京、大阪、奈良、神奈川と大都市圏の都府県が続く。

 県は「充足率にはあまりこだわらず実数を重視する」との立場だが、富山37位(58・5%)、福井40位(54・9%)、新潟46位(51・7%)といった北越各県の数字は、「医師の卵」が大都市へ流出する地方の苦境を如実に示す。

 北陸の他県に比べれば、石川の研修医採用数は安定している方だが、肝心の医師不足は改善に向かっているのか。

 県内の医師数は、04年以降の10年で2816人から3128人に、10%増えた。人口10万人当たりの医師数は285・8人と全国平均の244・9人を上回り、全国11位だ。

 県によると、県内で採用された臨床研修医の約8割がその後県内で就職した。研修医確保が医師の増加につながっているのは確かだ。

●医師争奪の時代

 県内で最も医師不足が進む能登北部(輪島、珠洲、能登、穴水)では、人口10万人当たりの医師数が02年の139・1人から08年に124・2人まで下がったが、14年は145・5人に回復した。

 ただ、実数は、02年の120人から14年の100人と減っている。08年の97人を底に「下げ止まった」とも取れるが、医師の減少を上回るペースで人口が減っているに過ぎず、医師の偏在、「過疎化」は依然進行中と言える。

 「目を瞑(つむ)ってふるさと富山県の姿を 今一度思い起こしてください(中略)貴方の心に見えている そんなふるさと富山県の医療が 医師不足など厳しい課題に直面し 今まさに若い貴方の力を必要としています」

 富山県は08年以降、県内の高校から医学部へ進学した学生に、石井隆一知事名で手紙を送っている。医療施策を紹介し、窮状を切々と訴える約3千字の長文には、のどから手が出るほど医師がほしいという思いがにじむ。知事の手紙作戦は、地方による医師争奪戦のし烈さを物語る。

 石川は、研修医の採用数を、今の「安定期」からさらに引き上げられるか。地域医療の維持、発展に向け、金大、金沢医科大の2大学を持つ強みをどう生かしていくかが問われている。