国による制度改革や診療報酬改定に対応して実績を出している病院はどこなのか。

2016.03.14

特集 全国病院改革ランキング (5/5)
2016.03.19 週刊ダイヤモンド 

国による制度改革や診療報酬改定に対応して実績を出している病院はどこなのか。集客力と機能を軸に評価し、全国1000病院のトップ100と都道府県別ランキングを作成した。


 国が進める制度改革や診療報酬改定にうまく対応した「改革実績」を評価するランキングで、全国1位になったのは岡山県の倉敷中央病院だ。本ランキングは2014年度(15年3月期)のDPCデータを基に、10年度時点でDPC制度を導入している病院を、改革に対応した実績によって順位付けし、うち100床以上を持つ病院を1000位まで掲載した。

 DPCとは包括医療費支払い方式の略称であり、国が推奨する支払い制度だ。従来のように診療行為ごとの報酬を積み上げて計算する出来高払い方式と異なり、疾患名に対して入院1日当たりの定額で算定するもの(手術などは一部、出来高払い)。現在、全国で1580病院がDPCに参加している。

 DPCへの参加は、入院医療費の包括算定を促す国の方針に対応していることを意味する。包括医療は出来高払いによる無駄な診療行為を減らし、入院期間の短縮や医療の質の向上などを狙う。支払われる報酬には、在院日数や病院の機能評価が反映される。

 トップの倉敷中央は職員3000人を擁し、規模と多様な専門診療科をそろえた「医療の総合デパート」。全国最大規模の患者数を誇り、手術数や救急車で運ばれてくる患者の受け入れ数も多い。

 国は医療機関に機能分化を促しているが、倉敷中央のある岡山県南西部は、大型の急性期病院が同院を含め二つのみで、明確に機能分化されている。近隣医療機関からの患者紹介、自院から他院への逆紹介が多く、富田秀男事務長はこれを「箱根駅伝」に例える。


急性期病院は箱根駅伝の山越え走者


 高度な医療が必要な山越え区間は倉敷中央が担う。重症度が低かったり、重篤な状態から脱すれば、他の医療機関にバトンタッチ。「1人の走者が走り続けるのではなく、それぞれの区間で役割を果たして全員で完走する」というわけだ。

 外来は他の医療機関に担ってもらうことを基本に、自らは役割を絞り込んでいる。その分、山越えを担うためにさまざまな疾患に対応するための人手や設備を整える。近年は救命救急センターを新設、手術室の数も増やした。

 診療報酬が改定されても「院内で何か大きく変えることはない」と富田事務長。急性期病院の果たすべき役割を実行していれば、改定のたびに振り回されることはないという。

 昨今の診療報酬改定では、倉敷中央のように高度な医療を担う7対1病院の要件が厳格化されているが、「急性期病院としてふさわしいことをやっていれば大丈夫」(富田事務長)と繰り返す。基準が高くなろうと、要件を満たすことに自信を見せる。

 DPCデータからは読み取れないもう一つの強さは投資への保守性だ。経営主体である公益財団法人は、「義理で借り入れている程度」(同)で、実質的な無借金経営。富田事務長をはじめ民間企業出身者が財布のひもを締め、財務の健全性にこだわる。

 無理して規模の拡大に走らない。地域に根差して長く医療を提供するために、患者数は効率性を高めることで増やす。入退院の回転率を上げると病床利用率は下がるが、患者を増やす余地にもつながる。


DPC病院の集客力と機能を11指標で評価


 あらためてランキングについて説明しよう。

 DPC参加病院が、国の進める改革に沿って実績を上げるには地域の患者をより多くより効率的に治療し、かつ機能を高めて診療報酬単価を上げる必要がある。

 そこでランキングでは、診療報酬改定や国による施設評価に応えながら患者を集める力を集客量、効率性の2要素で評価、医療提供の機能は国の評価、重症対応、地域(救急)対応の3要素で評価。計5要素11指標で評価した。項目の一覧は左ページをご覧いただきたい。

 集客量は年間患者数、患者数の増減率、2次医療圏における患者数の対人口比率で評価。さらに集客の効率性として、病床利用率、在院日数指標を加味した。

 国の評価では機能評価係数2に着目した。国が病院ごとに与える機能評価係数2は、医療機関の機能を評価するもので、さまざまな疾患に対応できる総合的な体制、地域医療への貢献、後発医薬品の使用など7項目から成る。高度な医療機能を持っていれば係数が高くなりやすく、1日当たりの診療報酬単価も高くなる。

 国はDPC参加病院に前年度並みの収入を保証する調整係数を単価に反映させているが、18年度に調整係数を完全撤廃し、機能評価係数2へ百パーセント置き換える予定だ。そこで調整係数撤廃後の係数期待値を、15年度に適用された機能評価係数2から算出。また、機能評価係数2の対前年度比増減率も指標とした。

 重症対応、地域(救急)対応は機能評価係数2の7項目にも組み込まれているが、重要性を鑑み、ランキングでは個々に指標として盛り込んだ。

 なお、国は17年度からDPC参加病院に対して、より詳細な治療実績を一般に公表するよう求める予定だ。これによって患者は治療実績から受診先を選びやすくなる。公表内容はこれから検討されるが、有力なのはがんや心筋梗塞、肺炎の重症度別患者数実績などだ。

 これに先駆けて、66ページからの都道府県別ランキングでは、DPCにおける肺がん、胃がん、大腸がん、肝がん、乳がんの五大がん手術患者数、および脳梗塞の各患者数も掲載した。


共同アンケート【一般の声】


かかりつけ医を見つけるのが大変。もっと診療所の医師の経歴や実績をオープンにしてほしい(70歳以上男性・無職)

終末医療、QOLについての情報提供を十分に行い、国民全体に、延命措置の是非を議論することが喫緊の課題だと感じている(50代男性・公務員)

ダイヤモンド社