[くらし健やか][かごしま発]県内産科事情・上/医師減少し、増える負担

2016.02.26

[くらし健やか][かごしま発]県内産科事情・上/医師減少し、増える負担=県産婦人科医会の有馬直見会長が講演
2016.02.24  
南日本新聞社

鹿児島県内各地の産科医療体制が課題となっている。県と鹿児島大学病院地域医療支援センターは1月29日、鹿児島市で市町村と医師会、鹿大病院との意見交換会を開き、現状や問題点を探った。県内の状況をテーマに講演した県産婦人科医会・有馬直見会長の要旨を紹介する。

 2014年の日本産科婦人科学会の報告書では、鹿児島の10年後の医師数は10%以上減少すると推測している。県内の現状は(1)医師の高齢化(2)医師減少に伴う1人当たりの分娩(ぶんべん)取扱数の増加(3)就業率の低下―などがある。50代後半の医師が頑張り、持っている。

 県産婦人科医会の会員数は14年128人だ。04年は149人、昭和50年代は200人を超えており、確実に減少している。

二次医療圏ごとの分娩状況(13年度)を紹介する。南薩は、南九州市を境に指宿市側と西側では診療の流れが全く違う。両地域の患者のやり取りはない。

川薩は施設数、医師数とも南薩と似ている。違う点は(地域周産期母子医療センターの)済生会川内病院があることだ。出水は医療機関が二つしかなく医師は2人。1人当たりの分娩取扱数は400人を超え、深刻だ。

 姶良・伊佐は医療機関6のうち5が霧島市(国分、隼人)と姶良市に集まり、連携が取りやすいと思う。肝属・曽於の両医療圏は鹿屋市の4産科に限られ、医師6人に過重な負担がかかっている。志布志市や南大隅町などからは距離も長い。

 熊毛は、種子島と屋久島に1カ所ずつ産科があるが、他地域で出産する人が多いのでは。奄美は医療全体のアクセスが悪いことが心配だ。

 鹿児島を除く、七つの二次医療圏の合計は、産科医療機関24、医師37人(県産婦人科医会所属)、分娩数7790人。医師1人当たりの分娩取扱数は210・5人と、全国平均105人の2倍だ。

 県産婦人科医会が10年に会員医療機関に実施したアンケートでは53の産科施設があった14年の調査では、10が分娩を中止、新規開業が1で、9の減少となった。半数近くが10年後に辞める可能性があることも分かった。

 特定の地域では、分娩の管理が不可能になる段階まできている。

(清水裕貴、川畑美佳)

 ●主な二次医療圏ごとの産科状況

地域  医師数  医師1人当たりの年間分娩数  現状

南薩  5人   187.6人         産科は枕崎と南さつま、指宿の3市。南九州市はない

出水  2人   416.5人         妊婦の約2%は出産前に地域外に救急搬送されている

肝属  6人   281.5人         鹿屋医療センターは主にハイリスク分娩、妊娠異常に対応

熊毛  3人    88.3人         2008年に公立産婦人科医院を設立した

奄美  7人   131.1人         徳之島3町で産科医の給与補てんする制度を設けている

※分娩取扱数は、2013年度の分娩数から算出