記写あれこれ 酒田市 八幡病院を診療所化へ サービス低下に不安の声 背景説明し、方策示して

2016.02.18

記写あれこれ 酒田市 八幡病院を診療所化へ サービス低下に不安の声 背景説明し、方策示して
2016.02.17 朝日新聞


 酒田市八幡地域と遊佐町などをエリアとする酒田市立八幡病院に関し、市は2019年度までに、日本海総合病院を運営する県・酒田市病院機構に統合する方針を打ち出した。医療従事者の確保が困難なことや厳しい経営状況が理由で、再編後は入院患者を受け入れず、通院対応中心の診療所に移行する。市は今月から地域への説明を始めたが、住民からは今後の医療サービスに対する不安の声が上がっている。

 八幡病院は1954(昭和29)年に開設。現在の病床数は46で、スタッフは常勤医師4人、看護師26人。入院、通院治療のほか、常勤医師がいない市内4診療所での訪問診療、医師不在の飛島診療所でのテレビ電話による遠隔診療を担う。病院外で在宅医療など約80人の患者に対応している。

 市健康課によると、八幡病院の患者数は近年、微減傾向にある。入院者数は10年度の延べ1万5215人が、14年度には延べ1万3760人。病床利用率は約9割から8割台前半に下がった。10年度に延べ2万3338人だった外来者数はその後の各年度で0・3~4・9%減少。入院の約8割、外来の約6割強を75歳以上が占めている。

 予算規模は毎年8億円ほどだが、医業収益だけでは経営を支えきれず、市は一般会計から毎年2億5千万~3億円を繰り出している。こうした状況を踏まえ、地元医師会や住民らで組織する改革プラン評価委員会は昨年度、継続は難しいとし「同機構との統合が望ましい」とした。

 病院から診療所に移行すると地域医療がどう変わるのか。現在、救急告示病院に指定され、24時間体制で患者を受け入れているが、今後は指定から外れ、診療時間のみの診療となる。医師確保面では、自治医大からの派遣が継続されるかどうかは不透明。市は本年度中に基本構想を策定し、医師数や診療科目・時間などを示すとしている。

 市は統合後、同機構や医師会などと協力し、病気や介護状態になっても地域に住み続けられる「八幡地域包括ケアシステム」の構築を目指す。日本海総合病院を急性期医療拠点と位置付け、八幡病院は日常的に通院するかかりつけ医の「初期医療」と設定。医療サービスの低下を回避するため▽両病院間のシャトルバス運行▽在宅医療や訪問介護の強化―を検討している。

 住民説明会は今月10日にスタート。第1回の大沢コミュニティセンターでは、住民12人が参加した。市が経緯や今後の方針を説明し、診療所に移行後も「地域で暮らし続けてもらうための医療をしっかり提供する」と呼び掛けた。参加者からは「大きな病院では待ち時間が長くなり高齢者には大変」「医者は減るのか」などの声が相次いだ。

 地域間の医療格差を解消し、どこに住んでいても等しく高度な医療サービスを受けられることを住民は望んでいる。こうした環境整備の面で、地方は大都市圏に比べて公立病院への依存度が高いのが実情だ。人口減少が加速する地方は高齢化の進展も早い。財源確保に悩む自治体は、小規模病院を維持するのが難しい状況になっている。だが、高齢化は医療に対するニーズをさらに高める。行政は背景や理由を丁寧に説明し、一定の医療サービスを維持する方策を住民に提示する責務がある。

(酒田支社・鈴木大和)