社説 県立新庄病院改築へ意見書 鍵は「連携」、前倒し期待

2016.02.18

社説 県立新庄病院改築へ意見書 鍵は「連携」、前倒し期待
2016.02.16 山形新聞
 

改築が決まった県立新庄病院(新庄市)の果たすべき役割や機能強化を話し合った県立新庄病院改築整備検討委員会(委員長・山科昭雄新庄市最上郡医師会長)はこのほど、3回の会合で出された声をまとめた意見書を県に提出した。これを一読すると、「連携」という言葉がキーワードとして浮かび上がる。

 意見書は「県立新庄病院の果たすべき役割」として▽地域完結型医療▽地域医療機関を支える医師派遣▽高度専門医療▽救命救急機能の充実▽より広域的な診療体制▽医療と介護・福祉の連携▽地域活性化拠点―の7点を基本に、がんや循環器系、神経系の疾患、周産期や小児医療、救急医療などを重点診療分野として提言。病床機能では緩和ケア病棟の確保などを掲げ、付帯機能として敷地内へのヘリポート設置も盛り込んだ。もう一つの柱である「新しい病院と介護・福祉との連携」に関しては、認知症患者への対応を含む地域包括ケアシステムに対応した機能の充実、障害児療育体制の整備などを掲げている。

 新庄病院は他地域の拠点病院に比べ、地元住民の依存度が極めて高いという。だからといって全てを新庄病院が担うのでは負担が大きすぎる。意見書は地域住民の要望を細大漏らさず掲載した、という側面が強く、その内容が全て実現するとは限らない。基幹病院として全診療科目で一定の医療水準を維持するには30万人規模の医療圏が必要、とも指摘されるが、隣接する尾花沢市、大石田町まで含めても10万人強で、将来的にも減少が見込まれる現状を考えれば、ある程度の重点化は必要だろう。現実問題として医師を確保できるか、という課題もある。

 そこで浮上するのが「連携」というキーワードだ。検討委の意見としても出されたが、最上町立病院や町立真室川病院といった地域内の医療機関と一定の機能分担は不可欠。同時に心臓外科など一部の診療科目は県立中央病院など地域外の3次医療機関に委ねる、というのが現実的な選択肢なのだろう。高齢化が進む最上地域にとっては、地域包括ケアシステムに対応した市町村、介護・福祉施設との連携も重要だ。

 意見書を踏まえて県は来年度、基本構想を策定する予定で、診療科目や病床規模など新病院の概要が示される。その中で注目されるのは移転の有無だ。基本構想では仮に移転する場合でも具体的な候補地までは踏み込まないが、現在地への建て替えか、移転改築か、望ましい方向性は盛り込まれる見込みだ。新庄市などは「地域活性化の拠点となる施設に」と要望しており、建設地の方向性には地元も高い関心を寄せている。

 県内外の拠点病院の例では、基本構想の策定から開院まで、おおむね7年程度掛かっているという。県は基本構想に続き基本計画、基本設計、実施設計という手順を踏んだ上で、着工から完成までは3年程度を見込んでいる。ただ現在の新庄病院は最も古い部分で築後40年、前回の大規模改修からも9年が経過し、再び老朽化による弊害が現れ始めている。地域住民の悲願を一日も早く実現するためにも、着工までの作業は可能な限り前倒しするよう期待したい。

山形新聞社