(地域包括ケア@新潟:27)様々な職種、ネットワーク化 医療・介護・行政.../新潟県

2016.02.15

(地域包括ケア@新潟:27)様々な職種、ネットワーク化 医療・介護・行政…/新潟県
2016.02.13 朝日新聞



 地域包括ケアは、地域まるごとケアとも言われる。高齢者らが地域で暮らし続けるのを支えるには、医療や介護、行政など様々な職種の人々が幅広く情報を交換し合い、ネットワークを組むことが必要とされるためだ。そのようなネットワーク作りが今、進められている。


 「初めて会った時には、テレビに出ている有名人に会えたような感覚でした」

 6日に新潟市内で開かれた「山の下地域包括ケアネット(山の下ねっと)」の第5回全体会。同市社会福祉協議会老人デイサービスセンター藤見の立川恵子・センター長は、同ネットに参加することで、医師と関わりをもてるようになった当初を振り返った。

 医療職と介護職の人たちは高齢者を中心にして近くで働いているようでいて、これまでは、職種としての歴史や使う用語の違いなどから、なかなか相いれないことも多かった。特に医師は、介護職からは「雲の上」の存在になりがちなのが現状だ。


 ■垣根取り除く

 そのような「垣根」を取り除き、医療や介護に関わる様々な職種と行政、社会福祉協議会などが「顔の見える」関係を作ろうと3年前に同市東区で設立されたのが同ネットだ。

 地域包括ケアに積極的に取り組む機関や事業所が登録し、リストを作成。ホームページで公開するとともに、日頃から情報交換をし合う。14年からは年2回は約100人が参加する全体会を開き、地域の課題を話し合ったり、摂食嚥下(えんげ)や看取(みと)りといったテーマを学んだりしてきた。区と協力して在宅医療・介護の情報をまとめたガイドブック「そうだったの!在宅ケア~医療と介護~」も作成。このほか、30人程度の小規模で現場での問題を考える事例研究クラブや看護師同士による連携のための会も立ち上がっている。

 この日の全体会では、同ネットに参加して良かったことや今後の課題についての発表とグループワークが行われた。「在宅医療に前向きになった」「医療と介護、福祉の文化の違いを知ることができた」などの成果とともに「専門職だけでなく市民も巻き込んでいく必要がある」などの課題も出された。

 同市地域包括支援センター山の下で社会福祉士として働く小山寿雄さんは、同センターへの年約450件の相談のうち3分の1ほどは認知症に関することが占めるとし、高齢者の金銭管理や悪徳商法などの被害防止に向けた支援が求められていることを指摘。「多職種で相談しやすい関係を作り、多面的な視点で支援策を考えていくことが大切」と訴えた。


 ■法律で制度化

 同ネット代表の阿部行宏医師は「高齢者の生活をしっかりと支えるために今ある現実を見直した上で、少し先を考えて提示していきたい」と話す。

 同様のネットワークは改正介護保険法で制度化され、18年度までに全ての市町村で実施することになっている。県内では15年度から半数以上の市町村で協議会を立ち上げるなど、取り組みが始まっている。

 新潟市ではすでに16ネットワークが活動しており、15年度にはこれらのネットワークの事務担当者が情報交換をする会議を4回開催した。その他の関係機関も加わる情報交換会も1回開くなどして支援する。

 さらに16年度には、医療・介護職からの相談の窓口となる「在宅医療・介護連携支援センター」のサテライト型を全8区に1カ所ずつ開設する準備を進める。同センターでは、訪問診療や訪問看護の紹介のほか、多職種による連携研修会や市民向けの出前講座の運営などの役割を担うことが期待されている。新任のケアマネジャーらの参考になるように、在宅医療・介護連携のためのガイドラインの作成にも取り組む予定だ。

 関根伴和・同市地域医療推進課主査は「地域包括ケアは、顔が見える関係があってこそ。地域ごとにニーズを探ってもらい、それを支援していく態勢を整備したい」と話す。(松浦祐子)