[気になる社会保障]紹介なしの初診で追加料金 

2016.02.10

[気になる社会保障]紹介なしの初診で追加料金 一部の大病院 徴収義務化へ
2016.02.09 読売新聞



 Q 友達が入院している大学病院にお見舞いに行ったら、「他の医療機関からの紹介状(原則有料)なく来院された患者さんからは、特別の料金をお支払いいただきます」って掲示があったわ。体調が気になるから病院に行くのに、どうして。

 A 「症状が軽い人はまず、地域の診療所などのかかりつけ医を受診する。必要があれば専門的な医療に対応できる大きな病院を紹介してもらう」という具合に、医療機関の役割に応じた受診を促すためだよ。

 Q どういうこと。

 A 日本では、病気やケガの際、どの医療機関にかかるかは、基本的に患者自身が自由に選べる。すべての国民が何らかの公的医療保険に加入する「国民皆保険」とともに、誰もが安心して医療を受けられる体制の柱だ。ただ、軽症でも、大きな病院にかかる人もいる。厚生労働省の研究調査では、「風邪の初診であっても大病院にかかりたい」と思う人は約2割いるというよ。

 Q 「念のため」って気持ちがあると思うわ。

 A でも、軽症患者が大病院に集中したら、高度な医療を必要とする重症患者の診療に影響が出かねない。患者の待ち時間は長くなりがちだし、医師の負担も増す。そこで、ベッド数が200床以上の病院を「紹介なし」で受診する人からは、追加料金を取ることができるようにしているんだ。一方、大病院が、軽症患者や専門的な治療を終えた患者を、診療所などに「逆紹介」することもある。

 Q 追加料金はいくらぐらいかしら。

 A 厚労省によると、「紹介なし」の初診については、全国の200床以上の病院の半数弱にあたる約1200病院が徴収している。金額は2014年7月時点で210円から1万800円までと幅があり、平均で約2400円だった。救急の場合など、やむを得ない事情があれば、追加料金は求めない。

 Q 効果は出ているの。

 A 外来の「紹介なし」患者の割合は、200床以上の病院ではまだ6~8割を占めている。このため、厚労省は、500床以上で地域医療の中心となるような病院や、大学病院のように高度な医療を提供する病院については、新年度から、「紹介なし」の初診では5000円以上の追加料金の徴収を原則義務化する方向で調整しているよ。

 Q 気軽には払えない金額ね。

 A そうだね。ただ、医療機関の役割に応じた受診を広めるには、お金を取るだけでなく、診療所と病院の連携を深め、より信頼できるかかりつけ医を育成するなど、「大病院志向」の人も納得して診療所などを受診できるような取り組みも求められているよ。(石原毅人)