へき地医師不足、県が救援策 

2016.02.10

へき地医師不足、県が救援策 派遣病院への補助・登録制で緊急対応も /岐阜県
2016.02.09 朝日新聞



 県内の山村で医師不足が深刻になっている。へき地診療所の3割で常勤医師が不在。現場からは複数の勤務医を望む声もあるが、実現は難しい。県は新年度、こうした診療所に応援に入る医師と派遣元の病院を支援するため、新たな制度を導入する方針だ。


 周囲を山に囲まれた飛騨市河合町角川の河合診療所。人口1千人ほどの旧河合村にある唯一の医療機関だ。2月のある平日、待合室には5人の患者が診察の順番を待っていた。隣の旧古川町から車で約20分かけて通っている女性は「ここの先生が好きなの。長い間、同じ先生に診てもらえると安心もする」。


 ■常勤医1人だけ

 常勤医師は根尾実喜子さん(48)だけ。河合診療所で働き始めて、まもなく19年になる。平日は診察で風邪やけが、皮膚や目の異常など患者の様々な症状を診る。診察以外の時間に、地区内に8人いる寝たきりの在宅患者の訪問診療や各種病気の予防啓発活動、学校での検診などにあたる。

 根尾さんは地域医療を担う医師を養成する自治医科大学(栃木県)の出身。卒業後の義務となっている9年間の地域病院・診療所での勤務で、最後の3年間を河合診療所で過ごした。男女3人の子を育てた時期でもあり、環境を変えずにこの診療所で医師を続けることにした。

 仕事と育児の両立に加え、急患対応もある。それでも「地域で私の子どもの面倒をいつも見てくれて、地域の医師として大切にしてもらった」と話す。週に1度は高山市の中核病院で研修を受け、技術や知識の向上にも励む。「家族や親戚、地域に住む人みんなが患者。そんな環境そのものがやりがい」

 自分が体を壊したら、という不安はある。中核病院による後方支援はあるが「本来は一つの診療所に複数の医師がいることが望ましい」と打ち明ける。


 ■医師1日2万円

 ただ、現状はそんな理想像からほど遠い。歯科と出張所を除く県内の市町村運営のへき地診療所37カ所のうち、10カ所では常勤医師が1人もいない。県の担当者は「地域医療が守られていないのが現状」と危機感を募らせる。

 そこで、県は新年度、新たな医師確保策を始める方向だ。県内の病院が医師をへき地診療所に派遣すれば、1日単位の短期なら医師1人あたり病院に6万1千円、医師に2万円、1年単位の場合は医師1人あたり病院に1500万円、医師に500万円を出す。

 県と市町村で半額ずつを負担。経費への補助ではなく、医師や病院に機運を高めてもらう趣旨で、全国的にも珍しいという。へき地診療に携わる意思がある医師を事前に登録する「ドクタープール制度」をつくり、常勤医師の急な遠出や休診に応じて県が派遣する。県の担当者は「ここまでしないと、へき