県厚生連、2病院譲渡へ 経営難・医師不足で 熊谷・久喜 /埼玉県

2016.01.19

県厚生連、2病院譲渡へ 経営難・医師不足で 熊谷・久喜 /埼玉県
2016.01.16 朝日新聞



 県厚生農業協同組合連合会(JA県厚生連)は15日、運営する熊谷総合病院(熊谷市)と久喜総合病院(久喜市)の2病院について、それぞれ別の法人に譲渡すると発表した。経営難や医師不足が背景で、各病院が持つ機能は新法人にそのまま引き継がれる。休業はせず、4月中に新たに開業する予定だという。


 熊谷総合病院は社会医療法人「北斗」(北海道帯広市)が経営支援し、新たに県内に設立する医療法人に売却する。また、久喜総合病院は一般社団法人「巨樹の会」(佐賀県武雄市)に売却する。昨年12月下旬にそれぞれ譲渡基本契約を結んでおり、3月末に本契約を結ぶ予定としている。

 JA県厚生連によると、2010年3月期以降、JA県厚生連全体で赤字が続き、昨夏ごろから病院の譲渡先を探していた。関係者によると、病院単体でも赤字で、累積額は両病院あわせて数十億円にのぼるという。

 また会見では、譲渡の理由に「慢性的な医師不足」も挙げた。入院が必要な一般的な医療を行う「2次保健医療圏」の医師数を見ると、両病院のある地域はいずれも、人口10万人あたりの医師数(12年時点)が県全体を下回っている。

 JA県厚生連の大野郁夫専務理事は「自主的な経営改善にも取り組んだが、医師の確保が難しく、収益改善が難しいと判断した」と説明。「地域でも愛着を持たれている病院。地域の皆さんに引き続き安心してもらえることを主眼とした」と理解を求めた。(清宮涼)


 ■医療行為継続に一安心 地元2市

 ともに1日あたり約500人の外来と、約200人の入院患者を受け入れ、地域医療の中核を担ってきた両病院。新法人への譲渡後も、病院機能はそのまま引き継がれるため、地元からは安堵(あんど)の声も聞かれた。

 久喜総合病院は11年に開院したばかり。病床数は300床で、災害拠点病院の認定のほか、受け入れ要請があれば原則断らない「搬送困難受け入れ病院」の指定も受けている。

 久喜市は誘致にあたり、施設整備の目的で35億8千万円を補助した。わずか5年での事業譲渡は想定外だったという。市はJA県厚生連との協議で総合病院としての継続を要望。3億7千万円の「和解金」の支払いを受けるほか、譲渡先が少なくとも10年間は病院を継続する内容で合意した。

 市の担当者は「医療行為は継続されると聞いている。補助金も、その意味で生かされる」と話す。

 熊谷総合病院は1945年の開設で病床数は310床。市内他の3病院による救急医療の輪番や、夜間の小児救急医療を担っており、市は年500万円程度の補助金を出している。

 熊谷市の富岡清市長は「これまでと同程度の機能が引き継がれるときいており安心している。市民の健康・医療を守っていただけるよう期待している」とコメントした。(高橋町彰、田中正一)