[社説]診療報酬改定 地域医療を守る視点が重要だ

2015.12.23

[社説]診療報酬改定 地域医療を守る視点が重要だ
2015.12.22 読売新聞



 高齢化で膨らむ医療費の抑制は、社会保障制度を維持する上で欠かせない。診療報酬のマイナス改定はやむを得まい。

 2016年度の診療報酬改定で、政府は全体として0・84%引き下げることを決めた。前回14年度改定はプラス0・1%だったが、消費増税の対応分を除けばマイナス1・26%だった。実質的に2回連続の引き下げだ。

 今回、医師らの技術料である「本体部分」を0・49%引き上げる一方、医薬品の価格である「薬価部分」は、実勢価格に合わせて1・33%引き下げる。

 政府は、財政健全化に向けて全体のマイナス改定を早々に決め、本体部分への切り込みも検討してきた。日本医師会などは、医療崩壊を招きかねないとして、プラス改定を強く求めてきた。

 来年夏の参院選を前に、政府・与党が医療機関側に配慮する形で決着したとの見方もある。

 前回の実質マイナス改定以降、病院経営は悪化傾向にある。地方の医師不足も依然として深刻だ。医療従事者の人件費となる本体部分の引き上げは、地域医療を守り、国民の不安を和らげるためには、必要な措置と言えよう。

 報酬改定と同時に、薬剤費抑制のための制度改革を実施する。国内での売り上げが年1000億円を超えたヒット新薬の値下げや、医師が処方する湿布の枚数制限などが見込まれている。

 安価なジェネリック医薬品(後発薬)の利用促進も急ぎたい。

 薬局に支払われる報酬も大幅に見直す。患者の服薬情報を一元管理する「かかりつけ薬局」の普及を促すため、大病院周辺に立ち並ぶ「門前薬局」の報酬は減額する。もうけ過ぎとの批判が強いことを受けたものだ。

 診療行為ごとの報酬の具体的な配分は、年明けに議論される。超高齢社会に適した医療提供体制を構築する。費用を抑えつつ、医療の質を向上させる。こうした方向性に沿ったメリハリのある配分にすることが重要である。

 都道府県では、将来の医療ニーズと必要な病床数を盛り込んだ地域医療構想の策定を進めている。高コストの急性期向け病床を減らし、退院支援や在宅診療などを充実させるのが狙いだ。

 急性期病床が増えすぎ、症状の安定した高齢患者が多数入院している現状は改める必要がある。

 高齢者が地域で安心して暮らせるよう、医療と介護の連携強化も大切だ。報酬配分で重点課題とすべきである。