岩手県内病床、25年に23%減 地域医療構想素案 在宅への移行課題

2015.11.30

岩手県内病床、25年に23%減 地域医療構想素案 在宅への移行課題
2015.11.27岩手日報社 


 県は26日、2025年時点で必要な病院ベッド(病床)数を県全体で14年比3183床(23・0%)減とする地域医療構想の素案を県医療審議会医療計画部会(部会長・岩動孝県医師会副会長)に示した。

高齢化を踏まえて限られた医療資源を効率的に活用し、医療費抑制にもつなげることが狙い。今後は病床機能の転換や在宅医療への移行を目指すが、民間病院の理解を得ることや在宅医療の充実をどう図るかが課題になる。 

 必要病床数は、入院患者数や「団塊の世代」が75歳以上となる25年の推計人口、病床稼働率を基に推計。14年は1万3859床だが、25年時点で必要なのは1万676床で、3183床が過剰になると試算した。

 内訳は救命救急や集中治療に対応する「高度急性期」が1053床、「急性期」が3055床、療養が必要な「慢性期」が938床それぞれ過剰となる。

 反対にリハビリや在宅復帰を担う「回復期」は2149床の不足と推計。急性期や慢性期から回復期へ病床機能の転換を求める。

 素案は全医療圏で病床減を促す。中核を担う盛岡医療圏は、他地域の患者流入を踏まえても高度急性期を中心に1035床が過剰。二戸医療圏は、約半数に当たる302床が過剰とされた。

 高齢化に伴い、在宅医療や特別養護老人ホームの需要は増える見通し。25年に在宅医療などを必要とする患者数は、13年比23%増の1万3780人に上る見込みだ。

 同日の医療計画部会は素案を了承。だが、取りまとめに当たっては9医療圏の関係者から「在宅医療を担う資源が不足しており一律の在宅移行は困難」など不安の声が寄せられた。

 岩動部会長は「今後は各医療圏で、地域の実情に沿って議論を深めてほしい」と話す。

 県は12月から各医療圏で意見聴取し、パブリックコメント(意見公募)を経て年度内に最終案をまとめる方針。策定後に市町村、医療、介護関係者らで協議の場を設け、具体化に向けて議論する。








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在宅医療 見えぬ充実策 県の病床削減構想 実現性に疑問の声




 県が26日、岩手県医療審議会医療計画部会に出した地域医療構想の素案では、県内医療機関の入院ベッド(病床)数の大幅削減の必要性が示された。2025年時点で約3千床(14年比)が過剰との試算について、県は「あくまで目標値」と説明。だが、委員や医療関係者からは実現性に対する疑問や病床に代わる在宅医療を充実できるか懸念の声が上がっている。



 「在宅の受け皿が整わない場合は病床を維持するのか」「医療と福祉の連携を促す国のインセンティブ(刺激策)はあるのか」

 同日の医療計画部会では、医師や福祉関係者でつくる委員から在宅医療に関する質問が集中した。入院ベッド削減に代わる在宅医療の充実策が示されなかったためだ。

 現場の医療関係者の間でも不安の声が相次いでいる。くくる花巻訪問看護ステーションの平沢利恵子所長は「訪問看護師の絶対数が不足している。専門の知識や経験が必要とされ、責任も重いため志すことをちゅうちょする傾向がある」と人材確保の難しさを指摘する。

 一方で訪問看護のニーズは増加傾向。同施設はスタッフを増やして対応してきたが「他では看護師不足で利用希望を断っている例もある。在宅医療体制を整えないと現場が疲弊してしまう」と語る。

 県長寿社会課の中居哲弥総括課長は「医療と介護の連携など在宅医療を支える下地づくりを進めながら、地域の受け皿確保に向けた議論が深まるよう支援していく」と語る。